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第5章 マーケティング戦略の構成要素 1部の続き。市場環境分析作業における消費者分析、商品分析、流通分析、コミュニケーション分析について見ていきましょう。

5-2-3 市場分析

市場分析は、企業が参入しようとする市場の現状と将来の動向を評価するための重要なステップです。以下に、市場分析の主要な要素を紹介します。

1.市場規模

市場規模の分析では、市場全体の総売上額や市場数量規模などを評価します。これにより、市場の大きさや潜在的な需要を把握できます。そして市場の規模を詳細に把握することは、ビジネスの成長戦略や競争戦略の基盤となります。

2.市場成長率

市場成長率の分析では、金額面での売上伸び率や数量面での伸び率などを評価します。この成長率は、市場の健全性や将来性を示す指標であり、市場参入の魅力度を評価する際に重要です。

3.市場構造

市場構造の分析では、エリア別売上、販売ルート別売上、カテゴリー別売上などの細分化データを評価します。これにより、市場内のセグメントや競合状況を理解できます。市場構造の分析は、戦略におけるターゲット設定や差別化の方針に影響を与えます。

4.市場動向

市場動向の分析では、市場ライフサイクル、新商品動向、売れ筋動向、技術動向などを評価します。これらは、市場の現在の状況や将来の予測を把握するために重要です。新しいトレンドや技術の動向を捉えることで、競争力を維持しつつ、成長戦略を描いていくことが可能です。

以上4つの要素を分析することで、企業は市場の特性や競争状況を理解し、戦略を立案する際の基盤を築くことができます。

5-2-4 消費者分析

消費者分析は、企業がターゲットとなる顧客のニーズや行動を理解し、戦略を適切に設計するための重要なステップです。以下に、消費者分析の主要な要素を紹介します。

1.ターゲット人口

ターゲット人口の分析では、ターゲット層の人口やその変化を評価します。人口推移や人口構成などから、ターゲット層の規模や特性を把握できます。

2.購買動向

購買動向の分析では、購買の場所や頻度、時間や動機などを評価します。消費者の購買行動を理解することで、商品やサービスの提供方法や販売戦略を最適化できます。

3.使用行動

使用行動の分析では、製品やサービスの使用頻度、使用時間、使用場所などを評価します。消費者の製品使用パターンを把握することで、改善点や新たな提案が見つけられるかもしれません。

4.プロフィール

消費者のプロフィール分析では、性別、年齢、学歴、年収、ライフスタイルなどの情報を評価します。これにより、ターゲット層の特性や好みを把握し、個別のニーズに合わせた戦略を立案できます。

5.消費者ニーズ動向

消費者ニーズ動向の分析では、購買視点の変化やヒット商品の動向などを評価します。市場や消費者の需要変化を把握することで、これから先の適切なアプローチを考えることができます。

6.ロイヤルティ/Loyalty

ロイヤルティの分析では、消費者の継続購買状況やブランド忠実度を評価します。これにより、顧客を維持するための施策やアプローチを検討できます。

以上6つの要素を分析することで、企業はターゲットとなる顧客の行動やニーズを正確に理解し、効果的な戦略を策定することができるようになるのです。

5-2-5 商品分析

商品分析は、企業が提供する商品やサービスの特性、価値を評価するための重要なステップです。以下に、商品分析の主要な要素を紹介します。

1.ブランド別売上

ブランド別売上の分析では、各ブランドの売上や市場におけるシェアなどを評価します。ブランドごとの貢献度や競合状況を把握することで、戦略の方向性を考える際の参考にできます。

2.商品特性

商品特性の分析では、形状、容量、材質、価格、デザインなどの要素を評価します。これにより、商品の特性や差別化ポイントを理解し、顧客ニーズに合わせた商品戦略を考えることができます。

3.商品機能

商品機能の分析では、性能、特長、用途、ベネフィットなどの要素を評価します。商品がどのような価値を提供し、どのようなニーズを満たすかを理解することで、その商品の強みを明確にしましょう。

4.商品資産

商品資産の分析では、認知度、好感度、イメージ、中心顧客層などを評価します。商品が持つ価値やブランドイメージを客観的に評価し、顧客に訴求する際のアプローチを検討できます。

以上4つの要素を分析すれば、企業は提供する商品やサービスの特性、価値を深く理解し、顧客に魅力的な提案を行うための戦略を考えることができるでしょう。

5-2-6 流通分析

流通分析は、商品やサービスの市場での流通経路、販売活動に関するデータを評価するプロセスです。以下に、流通分析の主要な要素を紹介します。

1.流通力

流通力の分析では、企業の支店数、営業拠点数、直営店数などを評価します。これにより、商品やサービスがどれだけ広範な地域や場所に提供されているかを把握し、足りていない部分に関しては流通力の強化策を検討できます。

2.流通支配力

流通支配力の分析では、企業の取扱店数、取扱店率、店頭陳列状況などを評価します。競合他社と比較しながら、どれだけ多くの販売店で自社商品が取り扱われており、どの程度の展示や陳列が行われているかを把握します。

3.販売力

販売力の分析では、販売店員数やそのスキル、意欲などを評価します。販売員の質と量が商品の売上にどのような影響を与えるかを把握し、販売員のトレーニングやサポート策を検討します。

4.販売関係力

販売関係力の分析では、取引年数、取引量、マージン、コミッションなどを評価します。流通パートナーとの関係性や契約条件が商品提供にどのような影響を及ぼすかを理解し、双方にとって有益な取引条件を築きます。

以上4つの要素を分析することで、商品やサービスの流通経路、販売活動の改善点を見つけ、市場での競争力を高めるための戦略を構築する基盤を築きましょう。

5-2-7 コミュニケーション分析

コミュニケーション分析は、企業が行うマーケティングコミュニケーション活動の効果を評価し、広告やプロモーションの戦略的な改善を図るプロセスです。以下に、コミュニケーション分析の主要な要素を紹介します。

1.出稿期間

出稿期間の分析では、広告やプロモーションの開始時期や終了時期を評価します。この情報を基に、キャンペーンの実施期間や出稿タイミングを検討します。

2.出稿メディア

出稿メディアの分析では、広告が出稿されるメディアの種類を評価します。この評価を基に、テレビやラジオ、新聞や雑誌、オンライン広告など、どのメディアを活用するかを検討します。

3.出稿量

出稿量の分析では、広告やプロモーションの視聴率、ターゲットの延べ視聴率、広告本数、金額、放送秒数、ページ数などのデータを評価します。これにより、広告の露出度や効果を定量的に把握します。

4.出稿状況

出稿状況の分析では、時間帯別、曜日別、地域別、メディア別など、さまざまな観点から広告の出稿状況を評価します。そして、ターゲット層がどのタイミングや場所で広告に接触しているかを把握し、ターゲティング戦略の改善を検討します。

5.表現分析

表現分析では、広告やプロモーションのターゲット層、コンセプト、訴求ポイント、トーンマナーなどを評価します。これにより、広告メッセージがターゲットにどのように伝わっているかを検証し、クリエイティブの改善を検討します。

6.広告浸透度

広告浸透度の分析では、広告の認知状況、商品理解度、好感度などを評価します。そして広告が受け入れられている程度や消費者の反応を把握し、コミュニケーション戦略の効果を検証します。

以上6つの要素を分析することで、マーケティングコミュニケーション活動の効果を客観的に評価し、戦略の改善や最適化を行う基盤が築けます。

5-3 第5章のまとめ

第5章では、マーケティング戦略の構成要素について詳しく掘り下げました。企業目標の設定から市場環境分析、消費者分析、商品分析、流通分析、そしてコミュニケーション分析まで、各要素がどのように戦略策定に寄与するかについて、理解を深められたのではないでしょうか。

マーケティング戦略の構築においては、これら一つひとつの要素を綿密に分析し、組み合わせることが重要です。企業の目指す方向性やビジョンを明確にし、市場の動向や顧客のニーズを的確に把握することができれば、効果的な戦略の策定も可能になるでしょう。各要素の分析結果を総合的に考慮しながら、戦略の方向性を決定し、成功へと導くための計画を立てていきましょう。

 

 シリーズの続きは以下をご覧ください。

第1章 企業や商品、サービスを魅力的に活かすマーケティングとは何か

第2章 マーケティング分析の概要と重要性

第3章 マーケティング手法の概要と選び方 1部

第3章 マーケティング手法の概要と選び方 2部

第3章 マーケティング手法の概要と選び方 3部

第4章 マーケティング戦略とは 1部

第4章 マーケティング戦略とは 2部

第5章 マーケティング戦略の構成要素 1部

第6章 現状の問題点ならびにビジネス機会の洗い出しと課題設定

第7章 マーケティングの基本戦略

(ポジショニング設定/ターゲット設定/コンセプト設定)

第8章 マーケティング コミュニケーション戦略の立案

第9章 マーケティング戦略の要点

第10章 まとめ