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第5章では、マーケティング戦略を構築する上で非常に重要な要素、企業目標と市場環境分析作業について解説します。これらの要素は戦略の基盤となり、企業が成功するための道筋を描く重要なステップとなるでしょう。

5-1 企業目標

企業目標とは、企業の長期的な方向性やビジョンを具体的な目標として定量化したものです。企業目標を設定することで、組織全体が共通の目標に向かって取り組むための方針を持つことができます。そしてマーケティング戦略は、これらの目標を達成するための手段として活用することができます。

5-2 市場環境分析作業

市場環境分析作業とは、企業が事業を展開するために不可欠な市場環境への理解を深めるために有効なプロセスです。以下のセクションで、具体的なステップを詳しく解説していきます。

1.社会環境分析

プロセスの始まりは、社会環境分析です。ここでは、社会的なトレンドや価値観の変化を分析し、それが企業戦略にどのように影響を及ぼすかを考察します。

2.企業分析

社会環境の分析を終えたら、次に企業分析を行いましょう。自社の強みや弱みを評価し、競合他社との比較を通じて市場での競争優位性を把握します。

3.市場分析

企業分析の次は、市場分析です。対象市場の構造や動向、成長率などを分析し、市場のポテンシャルとリスクを把握します。

4. 消費者分析

自分たちのことだけではなく、消費者に関する分析も忘れてはいけません。ターゲットとなる顧客のニーズや行動パターンを理解し、顧客の視点からのアプローチを考えます。

5.商品分析

自社の商品やサービスに関する分析も重要です。提供する商品やサービスの特性、付加価値を評価し、差別化戦略を構築します。

6.流通分析

いくら素晴らしい商品やサービスであっても、顧客の元へ届けることができなければ宝の持ち腐れです。製品の流通経路や販売チャネルを分析し、効率的な流通戦略を計画します。

7.コミュニケーション分析

顧客との接点がなければ、商品やサービスの存在、魅力を伝えることはできません。そこで顧客とのコミュニケーション手段やプラットフォームを評価し、効果的なコミュニケーション戦略を策定します。

これらの市場環境分析作業は、企業が戦略を適切に立案し、市場での成功を実現するための土台を築く重要なステップとなります。

5-2-1 社会環境分析

ここからは前述した社会環境分析について、より詳しい内容を解説していきましょう。社会環境分析は、企業のマーケティング戦略において外部環境の要因を評価する重要なステップ。社会環境は常に変化し続けるため、それに対応するための洞察を得ることが必要不可欠です。以下に、社会環境分析の主要な要素を紹介します。

1.人口動態

人口動態の変化は、市場の構造や需要に影響を与える重要な要因です。人口の増減、世帯数の変化、普通世帯の傾向などが分析されます。例えば、高齢化社会における高齢者市場の拡大や、若年層の消費行動の変化などが考慮されます。

2.経済動向

経済動向は企業の事業展開や価格戦略に影響を及ぼす要因です。GDP(国内総生産)、GNP(国民総生産)、輸出入のバランスなどの経済指標が分析されます。経済の安定や成長率の変化は、消費者の購買意欲や価格感応度に影響を与えます。

3.国民生活動向

国民生活動向の変化は、消費行動やニーズに影響を及ぼします。物価や国民所得の変動、労働時間や生活時間の変化が分析されます。これらの要因は、商品やサービスの需要や価格設定に影響を与える可能性があります。

4.時代・生活の価値観

社会の価値観やトレンドの変化は、消費者の選好や行動に影響を及ぼす重要な要素です。社会現象やヒット商品、家庭や教育環境の変化などが分析されます。これらの要素を迅速かつ正確に把握することにより、企業は時代の流れに合わせたマーケティング戦略を構築することが可能となります。

5.文化・風俗

音楽、文学、ファッション、食文化などの傾向や風俗習慣の変化は、消費者のライフスタイルや好みに影響を与えます。これらの要素を分析することで、商品やサービスのデザイン、プロモーションにおいて適切なアプローチを取ることができます。

6.メディア環境

メディアの利用状況や接触時間の変化は、広告戦略やコミュニケーション戦略に影響を与えます。消費者がどのメディアを主に利用し、どのように情報を収集しているかを把握することで、効果的なメディアプランの策定が可能です。

 以上の要素を綿密に分析することで、企業は社会の変化に適応し、市場での競争力を高めるための戦略を構築する基盤を築くことができるでしょう。社会環境分析の代表的なメリットは以下の通りです。

〈ターゲットの特定〉

社会環境の分析によって、ターゲット市場の特性や傾向を理解し、需要の変化を予測することが可能です。これに基づいて、ターゲット層を明確に特定し、ターゲットに合わせた戦略を立案できます。

〈市場チャンスの発見〉

社会の変化やトレンドを把握することで、新たな市場チャンスを見つけることができます。これにより、既存の商品やサービスを改良し、新たな価値提供を行うことができます。

〈競争優位性の確立〉

社会の変化に適応した戦略を構築することで、競合他社との差別化が可能となります。消費者のニーズや価値観に合致した提案を行うことで、競争優位性を確立することができます。

〈リスクの軽減〉

社会環境の変化を予測し、適切な戦略を取ることで、ビジネスリスクを軽減することができます。また急激な社会変化に適応することで、市場の変動に対して柔軟に対応できる体制を築くことができます。

社会環境分析は、企業のマーケティング戦略をより着実なものとし、市場での成功を支えるために欠かせないプロセスです。

5-2-2 企業分析

次に、企業分析についてより詳しく掘り下げてみましょう。企業分析は、マーケティング戦略の基盤となる自社の強みや弱み、現在の状況を評価する重要なステップです。以下に、企業分析の主要な要素を紹介します。

1.企業理念

企業理念は、企業の基本的な価値観やビジョンを示すものです。歴史や事業領域、企業の存在意義などが含まれます。これにより、企業のブランドイメージや信頼性が形成されます。

2.資本関係

資本関係の分析は、企業の財務健全性を評価するために重要です。資本金、自己資本率、主な株主などが含まれます。これにより、企業の安定性や成長性を把握できます。

3.組織

組織の分析では、支社数や支店数、部門部署などの情報が評価されます。組織の規模や構造は、意思決定やコミュニケーションの効率性に影響を与えます。

4.人事体系

人事体系の分析は、従業員数や職種別従業員数、賃金、福利厚生などが評価されます。組織の人的資源の管理は、人材の確保や育成において重要な役割を果たします。

5.企業売上

企業売上の分析は、損益計算書から売上や利益などの数字を評価します。売上の動向は、企業の収益性や市場シェアの推移を把握するための指標です。

6.資産

資産の分析では、金融資産や無形資産、知名度、イメージなどが評価されます。これにより、企業のブランド価値や競争力を評価することができます。

7.取引関係

取引関係の分析は、資材の購入先、納入先、提携先などの情報を評価します。供給チェーンや協力関係の分析は、事業運営において重要です。

これらの要素を分析することで、企業は自身の強みや弱みを正確に把握し、競争環境の中でどのようなポジションにあるかを理解することができます。

 

シリーズの続きは以下をご覧ください。

第1章 企業や商品、サービスを魅力的に活かすマーケティングとは何か

第2章 マーケティング分析の概要と重要性

第3章 マーケティング手法の概要と選び方 1部

第3章 マーケティング手法の概要と選び方 2部

第3章 マーケティング手法の概要と選び方 3部

第4章 マーケティング戦略とは 1部

第4章 マーケティング戦略とは 2部

第5章 マーケティング戦略の構成要素 2部

第6章 現状の問題点ならびにビジネス機会の洗い出しと課題設定

第7章 マーケティングの基本戦略

(ポジショニング設定/ターゲット設定/コンセプト設定)

第8章 マーケティング コミュニケーション戦略の立案

第9章 マーケティング戦略の要点

第10章 まとめ