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第3章では、複数あるマーケティング手法の概要と、それぞれに期待できる効果についてご紹介します。マーケティング戦略を成功に導くためには、異なる種類のマーケティング手法をつぶさに理解し、その中から適切な手法を選んでいかなければなりません。本章で、その具体的な内容を確認しましょう。

3-1 B2C (B to C) マーケティングの概要と期待できる効果

B2C(ビジネス・トゥ・コンシューマー)マーケティングとは、企業が個人消費者を顧客としてターゲティングするマーケティング手法です。消費者のニーズや感情に訴えかけて、製品やサービスの購入を促すことが主たる目的となります。B2Cマーケティングの場合、顧客層が広く多様であるため、セールスサイクルが短く、感情的な反応を引き出すことが重要とされています。

例えば、広告キャンペーン、ソーシャルメディア広告、セールスプロモーションなどが代表的なB2Cマーケティングと言えるでしょう。こうした手法は、消費者の感情や欲求に訴えかけることで、商品やサービスの購買を促進する効果が期待できます。

他にも、デジタル化を進めることで、オンラインでの直接販売を実現し、パーソナライゼーションおよび顧客体験の強化をすることもできるでしょう。さらに、コスト削減や顧客データを分析することでマーケティング施策を最適化でき、収益の拡大や市場シェアの獲得などのビジネス目標を達成することが可能です。

3-2 B2B (B to B) マーケティングの概要と期待できる効果

B2B(ビジネス・トゥ・ビジネス)マーケティングとは、他の企業に対して自社の商品やサービスを提供するためのマーケティング手法であり、企業間で行われる取引において、自社の製品やサービスを顧客企業に優先的に購入してもらうための戦略や仕組みのことです。そこでは、顧客企業の購買プロセスを分析し、適切なタイミングで適切な情報を提供することが重要とされています。

代表的なものでは、専門的なプレゼンテーション、業界イベントへの参加、長期的なビジネス関係の構築などがあります。こうした手法は、相手企業のニーズや課題に合わせて解決策を提供しながら、徐々に信頼関係を築いていくことで効果を発揮します。

B2Bマーケティングに期待できる効果としては、新規顧客の獲得や既存顧客との関係性の維持・強化、売上や利益の拡大・コスト削減といったビジネス目標の達成、デジタル化やEC化などに対応し、市場環境や顧客ニーズの変化への柔軟な対応などが挙げられます。

3-3 ブランドマーケティングの概要と期待できる効果

ブランドマーケティングとは、ブランド全体の価値を高めるために、ブランドの商品やサービスをプロモーションすること。ブランドマーケティングでは、ブランドと消費者の関係を構築・維持し、ブランド属性(※)をマーケティングすることが重要です。
(※)人々が特定のブランドをイメージする時に考える特性

ブランドマーケティングに期待できる効果は、競合他社との差別化です。自社の製品やサービスを、特徴や価格でアピールするのではなく、消費者のニーズや感情に訴えかける価値を提供でアピールすることにより、消費者のブランド認知度やロイヤリティを高め、価格競争からの脱却や、広告費用の節約、継続的な利益を目指せます。また、ブランドマーケティングは、社会課題の解決にも貢献できる場合があります。

3-4 パートナーマーケティングの概要と期待できる効果

パートナーマーケティングとは、自社の商品やサービスを販売する際に、他社と提携してマーケティング施策を展開することです。パートナーマーケティングを行うことで、自社とパートナー企業が相互に紹介や推奨を行い、双方の顧客やオーディエンスにリーチすることができます。

パートナーマーケティングに期待できる効果については、自社の強みやリソースを活かしつつ、パートナー企業の専門知識や販売チャネルを利用することができるという点が挙げられます。そうすることで、コスト削減や効率化だけでなく、市場や顧客ニーズの変化にも素早く対応することができるでしょう。

また、パートナー企業の信頼性や評価を借りて、自社のブランド認知度やロイヤルティを高めることもできます。

パートナーマーケティングの代表例としては、アフィリエイトマーケティングやアンバサダープログラムなどのインフルエンサーマーケティング、販売パートナーシップや紹介パートナーシップなどの企業間マーケティングがあります。

3-5 マスマーケティングの概要と期待できる効果

マスマーケティングとは、対象とする顧客のセグメントを行わず、すべての顧客を対象とした画一的なマーケティング活動を行うことです。テレビ広告、ラジオ広告、大衆向けのイベントなどが該当し、広告を大量に展開することで、多くの人々にリーチします。

これにより、スケールメリットの獲得や、多くの消費者からの認知度向上、競合他社との差別化を図ることが可能。特に知名度を向上させるために効果的な手段であり、ブランド認知度や市場シェアの拡大が期待できます。

3-6 PR マーケティングの概要と期待できる効果

PRマーケティングとは、自社の情報やメッセージを、プレスリリースを通じてメディアやステークホルダーに伝える活動のこと。広告とは異なり無償で情報を提供することで、自社のブランドや商品・サービスの認知度や評価を高め、社会との良好な関係を構築することを目的としています。

PRマーケティングに期待できる効果は、メディア掲載を通じて信頼を高めたり、ステークホルダーに対して自社のビジョンや価値観、社会貢献などを直接伝えることができたり、広告費用をかけずに多くの人に自社の情報やメッセージを届けることができるなどです。良いイメージを持たせることで顧客の信頼を得ることができます。

また、企業の社会的責任や企業の倫理感を積極的に伝えることで、不祥事や炎上などの危機を未然に防げることや、企業のビジョンや取り組みなどをステークホルダーに直接伝えることで、企業に対する理解と共感を深め、社会的な批判を軽減することも可能です。

 

シリーズの続きは以下をご覧ください。

第1章 企業や商品、サービスを魅力的に活かすマーケティングとは何か

第2章 マーケティング分析の概要と重要性

第3章 マーケティング手法の概要と選び方 2部

第3章 マーケティング手法の概要と選び方 3部

第4章 マーケティング戦略とは 1部

第4章 マーケティング戦略とは 2部

第5章 マーケティング戦略の構成要素 1部

第5章 マーケティング戦略の構成要素 2部

第6章 現状の問題点ならびにビジネス機会の洗い出しと課題設定

第7章 マーケティングの基本戦略

(ポジショニング設定/ターゲット設定/コンセプト設定)

第8章 マーケティング コミュニケーション戦略の立案

第9章 マーケティング戦略の要点

第10章 まとめ