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開発ユニット ムービーラボ
映像ディレクター
稲井耕介

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こんにちは、映像ディレクターの稲井耕介です。
僕が撮影&監督を務めた「一期一句」という作品が、日本のものづくり、手仕事の魅力にフォーカスした「ニッポンものづくりフィルムアワード」にて、特別賞を頂きました。
今回はその作品制作にまつわる話と、この特長ある賞の授賞式の様子をお話しようと思います。

「ニッポンものづくりフィルムアワード」についてはこちら。>>

「一期一句」との出会い

まずは受賞作品を見てください。

 

「一期一句」は、 地域に貢献できるデザインをしたい、というたき工房のクリエーターの声からできた地場産業プロジェクトippo(いっぽ)が、今年100周年を迎える築地活字さんと共同制作した、活版印刷でつくる15文字の手紙です。活版印刷とは、鉛で出来た文字を一文字ずつ拾い組み合わせて版をつくりインクを付けて紙に転写する、古くからの印刷技術です。Ippoのアートディレクターの山口央くんが、以前僕が作った作品「八千代綴り」を見て、今回も製品の魅力を伝えるムービーを撮ってほしいと依頼がありました。「八千代綴り」は京都の和綴じ製本の職人さんが丁寧に製品を作っていく様子を撮ったドキュメンタリーです。

 

 

はじめは、今回も活版印刷で手紙を作っている様子にフォーカスした撮影を想定していました。ですが、話を進めていくうちに、今回は手紙を渡す人、渡す場所など、「便利なツールがある中で、“あえて不便なものを選択した人”にフォーカスをした構成にしたい」という意見をもらいました。プロジェクトにイチから関わっている人だからこその発想や思いに触れて、自分1人ではたどり着かない構成をチームで作っていった印象です。
地場産業プロジェクトについてはこちら >>

 

活字フェスというイベントに参加した一期一句。

活字フェスというイベントに参加した一期一句。

 

制作について

今回の映像はショートフィルムですが、ドキュメンタリー形式のため台本はありません。特にラストのシーンは一発撮りのため、その雰囲気作りには気を使いました。

今回最もキーとなるのは15文字以内の言葉です。出演者の女性は、それを素晴らしい言葉で表現してくれました。それゆえに、これを渡すシーン、空気感がとても重要です。リラックスしすぎてもダメ、かしこまりすぎてもダメ、あざとくてもダメ。

その為、手紙を渡す必然性が必要だと思い、父親の誕生日付近で撮影をして、誕生日ケーキと共に想いを伝えるというシチュエーションにしました。(ちなみに2人は本物の親子です。)この必然性はとても大切で、これがないと唐突感、あざとさが現場の空気に出てしまいます。

一発撮りに、多少心配な部分もありましたが、始まってみれば、親娘の絆を感じる瞬間の連続で、台本では書けないリアルな言葉や表情がたくさんありました。尺の都合上、泣く泣くカットしていますが、実際には1時間ほどの会話があり、それだけで一つの物語を見ているようでした。

 

表彰式に参加して

表彰式にはippoチームと共に参加しました。会場は格式漂うホテル雅叙園。おごそかな雰囲気の中、表彰式はスタートし、グランプリ・入賞・特別賞の全6作品の表彰と共にそれぞれの映像が上映されました。アワードのテーマは、「明日の“後継者”をつくる」。そのため、どの映像も、ものづくりの人そのものよりも、何かしら、「後継」を感じさせるものがありました。それでも三者三様の見せ方があり、改めて、映像は伝える人次第で見せ方も伝え方も違うものなんだなと感じました。共通して、映像技術よりも、製作者、職人、それぞれの想いやメッセージが圧倒的に強いものが選出されているという印象でした。

僕たちの作品について、表彰の際に審査員である映画監督の三島有紀子さんから<便利な時代にあえて手間のかかる事をする意義みたいなことを感じた。言葉の制限が無ければ、あの言葉は出なかった。>という、こちらの制作意図を汲み取ったコメントをいただけて、とても嬉しかったです。みなさんも是非、できたら静かな環境でもう一度ご覧になってみてください!

 

 

表彰式案内表示(ホテル雅叙園東京)

表彰式案内表示(ホテル雅叙園東京)

 

Ippoチームと築地活字の平工社長。

Ippoチームと築地活字の平工社長。

 

職人さん手作りの盾をいただきました。

職人さん手作りの盾をいただきました。

 

【CREDIT】
アートディレクター:山口央
監督 / 撮影 / 編集:稲井耕介
デザイナー:阿部友美
コピーライター:澤田尚志
プロダクションマネージャー:小林真之
プロデューサー:堀内瞳

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