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グラフィックデザインは、単にアイデアを形にするだけではなく、マーケティングやブランディングの課題を解決し、人の心や行動に大きな影響を与えることができる強力なツールです。そのため広告戦略では、ターゲットへの効果的な伝達にグラフィックデザインの力は欠かせません。

ここでは『グラフィックデザインの役割』と『グラフィックデザインの魅力』、そして効果的な広告・販促物をつくるための『ビジュアルコンセプトを考えるポイント』について解説します。

グラフィックデザインが果たす、広告・販促物などへの役割

グラフィックデザインは、さまざまな媒体や場面で使われています。
代表的なものでは、メディア広告(新聞・雑誌など)、
交通広告(電車・駅・バス・タクシー・飛行機など)、
屋外・店舗・施設(OOH・看板・デジタルサイネージ・店頭POPなど)、
パッケージ、販促物、ウェブ、ブランディング、PR、IRなどが挙げられます。

グラフィックデザインは、単に見た目を美しくするだけではありません。クリエイティブで戦略的なデザインには、視覚的な魅力と感情的な訴求力が備わっており、広告や販促物の効果を高め、ターゲットに強い印象を残すことが可能です。

そうすることでブランドの認知度や魅力を向上させ、ターゲットの心をつかみ、購買行動につなげることができるのです。これこそがグラフィックデザインの本質であり、重要な役割と言えます。

グラフィックデザインに魅せられる理由

グラフィックデザインは、カラーやフォントなどの視覚要素で、見た人の感情に訴えかけることができます。また、ストーリーテリング(物語を使って伝える)という手法で、ビジネスのメッセージやコンセプトを物語として伝え、広告・販促物などに共感や感動を呼び起こすことができます。

グラフィックデザインが持つ魅力は、大きく分けて3つの視点から考えられます。ここでは、それぞれの視点における具体的な要素をご紹介します。

視覚的な魅力
人は視覚的な情報を記憶しやすく、それらを優先して処理すると言われています。また、視覚的な情報が感情を刺激し、行動に影響を及ぼすこともあります。

色・形・レイアウトなどの視覚的要素は、美しさ・格好良さ・面白さなどの心理効果があり、これらの効果を利用することで、グラフィックデザインは広告・販促物などに視覚的な魅力を与えることができます。

例えば、赤色は情熱や緊張感を表し、青色は信頼や安心感を表します。また、円形は柔らかさや和やかさを表し、三角形は鋭さや攻撃性を表します。ほかにも、左から右へと流れるレイアウトは自然でわかりやすく、上から下へと流れるレイアウトは重要度の高さを表しています。

これらの要素を組み合わせることで、グラフィックデザインはターゲットに強い印象を与えることができるのです。

感情を引き起こす魅力
感情を引き起こす魅力とは、広告・販促物などのストーリーやメッセージ、コンセプトなどの要素が、感動や理解、共感、記憶などを引き起こし、人に影響を与えることを言います。

例えば、
・商品やサービスの利用シーンやユーザーの声などを掲載することで、ターゲットが自分の立場に置き換えて感じること。

・商品やサービスの特長とメリットなどを伝えることで、ターゲットに自分の価値観やニーズに合致するものと認識してもらう。

・商品やサービスのテーマとキャッチコピーなどを設定することで、ターゲットに独自性や差別化を印象づけること。

これらの要素を組み合わせることで、グラフィックデザインは広告・販促物などに感情を引き起こす魅力を与えることができるようになります。

認知的な魅力
認知的な魅力とは、ブランドやロゴ、シンボルなどの要素で、広告・販促物などに信頼や認知、連想などを与えることです。そしてこれらの要素は、人の信頼や忠誠心にも大きな影響を与えることになります。

例えば、
・商品やサービスの品質とイメージなどを表すことで、ターゲットに安心感や満足感を提供すること。

・商品やサービスの名称およびマークなどを表すことで、ターゲットに目立ちやすさと覚えやすさを高めること。

・商品やサービスの特長とメリットなどを表すことで、ターゲットに印象づけやすさと惹きつけやすさを与えること。

これらの要素を組み合わせることで、グラフィックデザインは広告・販促物などに認知的な魅力を与え、認知向上へつなげることができます。

グラフィックデザインがもたらす、広告・販促物などへの効果

グラフィックデザインは色や形、レイアウトなどの視覚要素で人の記憶に残りやすくなります。また、ストーリーやメッセージ、コンセプトなどで人の感情にも訴えかけてきます。これらの方法で、広告のメッセージを的確にターゲットへ伝えることができるようになります。

広告・販促物などが人の心を動かすには、以下の4つのステップを経る必要があります。
注意:ターゲットの目を引く。
興味:ターゲットに興味・関心を持たせる。
欲求:ターゲットの購買意欲を高める。
行動:ターゲットに購入や利用などのアクションを起こさせる。

グラフィックデザインは、これらのステップを経ることで効果的に働かせることができます。具体的な方法は以下の通りです。

注意
ターゲットに広告・販促物などの存在を知らせるためには、目に留まる視覚的要素を使うことが重要です。色や形、レイアウト、画像などで、美しさ・格好良さ・面白さなどを表現し、ターゲットに強い印象を与えます。

興味
ターゲットに広告・販促物などの内容を見てもらうためには、興味・関心を持たせる必要があります。ストーリーやメッセージ、コンセプトで世界観を構築し、独自性や差別化、革新性などを加えることで、人の感情を刺激し、心に訴求します。

欲求
「欲しい!」と言う欲求を高めることで、ターゲットに商品やサービスの購入・利用を促すことが可能です。欲求を高める方法には、ブランドやロゴ、シンボルなどの認知的な要素を使うことがあります。また、欲求に対して素直に行動していいのか、という迷いが生じることもあるため、その迷いを抑制する手段も必要です。ここでは迷いを抑制する情報の提供や信頼感、安心感を与える要素も有効です。

行動
ターゲットに購入や利用などのアクションを起こさせるためには、注意・興味・欲求の3つのステップを経て強い印象を残すことが重要です。また、行動しやすい環境や方法を提供することも効果的です。ターゲットが行動して満足度が高ければ、リピートやシェアされて購入率を向上させることも可能となります。

ビジュアルコンセプトを考えるポイント

グラフィックデザインには、メソッドやロジック、デザインスキルなどが必要ですが、表現を明確にするためには、ビジュアルの意味や方向性を示す『ビジュアルコンセプト』が不可欠です。

『ビジュアルコンセプト』とは、広告・販促物などの目的やメッセージと、ターゲットのニーズおよびインサイトをつなぐテーマやキーワードのこと。『ビジュアルコンセプト』が確立していれば、ターゲットに印象的で記憶にしっかりと残るビジュアルを提供し、行動へ誘導することができます。

ビジュアルコンセプトをつくる場合は、広告戦略に基づいて設定していくのが一般的です。以下は、マーケティング戦略から広告戦略、そしてビジュアルコンセプトまでの大まかな流れとなります。

【マーケティング戦略・広告戦略設定】
・商品・サービスなどの現状分析を行う。
(市場・競合・自社の強み/弱みなどの調査と分析)

・問題点と機会を洗い出し、仮説を立てて課題を設定する。

・課題解決策としてマーケティング戦略(商品・価格・流通・販促)を策定する。

・マーケティング戦略に基づいた広告戦略(目的・メッセージ・ターゲット・媒体など)を策定する。

ここで設定した広告戦略に基づき、以下のようなステップで『ビジュアルコンセプト』を設定し、ビジュアルを作成していきます。

【ビジュアルコンセプトの設定】
・広告の目的やメッセージを明確にする。

・ターゲットのニーズやインサイト(深層心理や感情、動機づけなど)を探る。

・ビジュアルコンセプトのテーマやキーワードを、さまざまな情報源(新聞・雑誌・TV・書籍・映画・ゲーム・ウェブ・各種エンターテインメントなど)から見つける。(テーマ例:「自由」「冒険」「未来」「夢」「笑顔」など)

・ビジュアルコンセプトのイメージ(色や形、フォントやレイアウトなどのビジュアル要素および写真やイラスト・動画などの素材)をつくる。

・ビジュアルコンセプトの効果(正しく伝えられているか、魅力的に映っているか、差別化ができているかなど)を確認し、必要に応じて修正を繰り返し行う。

グラフィックデザインの力を生かすには

グラフィックデザインは、視覚的・感情的・認知的な要素で、広告・販促物などに魅力を与え、注意/興味/欲求/行動という4つのプロセスで人の心を動かします。そして、それらのプロセスを理解し適切に活用することで、効果的な広告・販促物などをつくることができます。

グラフィックデザインを活用する際には、以下のポイントが重要です。

●ターゲットや目的に応じて色や形、レイアウトなどの視覚的要素を選ぶ。
●ストーリーやメッセージなどの感情的要素で、ターゲットに共感や感動を呼び起こす。
●ブランドやロゴ、シンボルなどの認知的要素で、ターゲットに信頼と記憶を残す。
●注意/興味/欲求/行動という4つのプロセスに沿って、ターゲットに印象づける。

これらのポイントを押さえることで、人の心を動かすグラフィックデザインの力を最大限に発揮することができます。