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デザイナー
米山浩太郎

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はじめまして、たきコーポレーションのデザイナー、米山浩太郎です。私はたきコーポレーションに入社後3年ほど社内のデザイナーとして活動し、その後3年半、出向して外部で仕事をしてきました。社内でも比較的珍しい経歴だと自負していますが、そんな自分だからこそ語れる、出向したからこそ見えてきたたきコーポレーションの魅力や、今後のデザイナーに求められる力について私の見解を、今回はお話ししたいと思います。

米山 浩太郎
2013年桑沢デザイン研究所に入学。アートディレクターである浅葉克己氏のゼミに入り、タイポグラフィを中心にグラフィックデザインを学ぶ。卒業後、株式会社たき工房に入社。2018年に大規模イベントの組織へデザイナーとして出向後、2022年からブランドデザイン部へ入り、企業のブランディングに携わる。昨今は趣味として始めたCGを用いて映像やビジュアルの制作など活動の幅を広げている。プライベートは週一でサウナ。

友人の何気ない一言がきっかけで歩み始めたデザイナー道

私がこの業界や仕事に興味を持ったのは、高校でどこの大学に行こうか考えていた時です。それまではなんとなく、自分は普通に一般大学に行って、営業なのか事務なのか、とにかく一般企業に就職するんだろうなぁと思っていました。

絵を描くのが好きで、ある日の放課後黒板に絵を描いていたのですが、それを見た友人から「そういう世界に進んでみたら?」と言われてハッとしました。そして、一度しかない人生だし好きなことをやってみようと思い、デザイン系の専門学校である桑沢デザイン研究所に進学しました。

在学中は主にグラフィックデザインについて学び、中でもアイコニックで奥が深いタイポグラフィやロゴデザインに強い関心を持ちましたね。

そして就職活動のタイミングでたきコーポレーション(たき工房)と出会い、学内でも評判の高い会社だったため、そのまま選考に進み、無事入社することができました。

 

数多くのグラフィックデザインを手掛けてスキルを磨く

入社後は、グラフィックデザイナーとして主に代理店案件を担当しました。
企業のリブランディングのためのロゴリニューアルに携わったり、商品広告用のグラフィックデザインに携わったり、特設サイトで用いるための文字素材を作ったり。ジャンルもクライアントもさまざまで、たくさんの経験を積ませてもらいました。

特に北國新聞社が主催する第101回高等学校相撲金沢大会で作成したグラフィックは、とても印象に残っています。女子高生が相撲の技82手を実演している画なのですが、これは海外からの評判も非常に高く、広告賞も受賞しました。

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出向先で出会った新たな自分、離れて知ったたきコーポレーションの強み

転機が訪れたのは、ある世界的イベントのブランド開発に関わる出向の話が、社内に舞い込んで来た時。社内での仕事は学びも多く満足はしていたのですが、違う世界も見てみたいとの思いから、手を挙げました。
そうして出向した先での仕事は、これまで自分が経験してきた仕事とは異なる、まさしく未知への挑戦でした。

そこでデザインするグラフィックの一つひとつは、単にポスターのような一枚のビジュアルを制作するということではなく、プロダクトや空間など、色んな媒体で流用できるデザインにしなければなりません。加えて、どのような角度から見ても、また後世にどのような人が見ても、その世界的なイベントのものであるということがわかるようにしなければなりません。こうした要望をデザインに落とし込むのはとても大変でしたね。

しかし難しい仕事だったからこそ、自身の成長にもつながったと感じています。大きい立体物に反映するグラフィックの検証においては、興味本位で始めていた3DCGを利用したデザインにも挑戦しました。広告だと一つのビジュアルをどれだけ洗練させていくかに気を遣いますが、出向での仕事は一つの世界観やメッセージを不特定多数の人に同じ印象を抱いてもらうことに意識を向けるので、その部分でデザインにおける、より広い視野や新しい視点を獲得できたように感じます。

また出向したからこそ、改めて自社の魅力も感じることができました。そのイベントでは多くの会社からデザイナーが出向してきていたのですが、その中でも一緒に出向に来ていた自社の先輩は具現化力もあり、制作スピードが速く、とても頼りにされていたのです。

これは私個人の感想ではありますが、たきは縦社会のようなものがないフラットな社風で、年次関係なく、良いデザインは採用されたり、積極的に関わろうとする人には案件を任せてもらえたりする環境があります。これは、若手の社員が積極的に聞く力や汲み取る力を磨き、デザイン力を高める意欲につながります。また、たきにくるクリエイターは「創ることが好き」と素直に思っている人が多いように感じます。社内では当たり前に感じるこうしたことが、外部に出たときに「強み」になり、期待される要素にもなったのではないでしょうか。

次の時代を生き残れるクリエイターになるために

イベント終了後、自社に戻ってからは、自身の希望もありブランディングやCIVIをメインに担当する部署に配属されました。イベントでの制作は、まさしくブランディングも含めてデザインを考える仕事だったので、渡りに船といった感じですね。現在その部署で、ロゴやそれにまつわるロゴマニュアルの制作など、新しい仕事にも積極的にチャレンジさせてもらっています。

たき社内での仕事、そして出向先での仕事を経験して感じるのは、デザイナーは常に新しいスキルを開拓し、自分自身を成長させていかなければならないということです。世の中にデザイナーがたくさんいる中で、どう自分を差別化していくかを常に考えていかなければなりません。

私の場合、以前から興味を抱いていた3DCGの勉強を始めましたが、今では個人的に動画を作ったり、CGを用いたビジュアルを作ったり、新たなスキルやツールを次々に試すこと自体が楽しくなっていますね。今はゲームエンジンを用いた映像制作に関わったりしています。好きこそものの上手なれではありませんが、3DCGをこのまま極めていけば、それは私ならではの強みになっていくでしょう。

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プライベートで制作に携わった2023年公開予定のリアルタイムCGを⽤いたMV。プロップ制作に携わる。

また一方で、最近ではAIにワードを入れるだけでビジュアルを生成してくれるオープンソースが話題です。そうした状況を考えると単にかっこいいビジュアルが作れますというだけのデザイナーでは、生き残る事が難しい世界になっていくのではないでしょうか。なぜなら「それAIでできちゃうよね」となるからです。今後は、デザインができるだけでなく、人間同士のコミュニケーションを通じてビジョンを立てて戦略を練る力や、AIも使いつつ最後の最後でより良い形に仕上げられる力といった、技術を上手に活用し、かつ技術が対応できない、人間にしかできないところをカバーする能力が求められるようになると思います。つまるところ人間力というか。同じコーヒーを飲むならよくあるチェーン店に行くより、話していて楽しい、気の合うマスターがいる喫茶店に行きませんか?まぁ気分とか状況にもよりますが(笑)

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画像⽣成のAIによって⽣成された「パグのSFアドベンチャー」をテーマにしたポスタービジュアル。筆者が⼊⼒したテキストによって生成されている。

これまでは自分が何をできるのかハッキリさせるとクリエイターとしては特徴がわかりやすかったですが、今後は特徴をいくつも持つ、ハッシュタグを何個も持つ人が重宝されるのではないでしょうか。その中にはスキルだけではなくて「#楽しい」「#リードしてくれる」とかも含まれると思います。めちゃくちゃ美味しいハンバーグ弁当ではなくて、全部のおかずがバランスよく美味しい幕の内弁当になろうということですかね。私はそういった総合力の高いデザイナーを目指したいと思っています。

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このビジュアルは、AIに生成をさせたビジュアルを3DCGソフト上で立体化させた空間に自身の体を3Dスキャンし配置して作成。