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たき工房
ブログ編集部

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ものづくり大国とも言われる日本には、特筆すべき技術を持った職人たちが全国に存在し、伝統技術や伝統産業を作り上げています。そうしたなかで、私たちたき工房では「地場産業プロジェクト」として、日本各地の伝統技術・産業と手を組み、プロダクト開発を通じて新しい価値を生み出す試みにチャレンジしてきました。その取り組みの数々を、「たき工房の『温故知新』」と称し、本ブログで紹介していきたいと思います。第1弾は、活版印刷用金属活字の鋳造販売を行う築地活字さんと行ったプロジェクト「一期一句」について。さまざまなチャレンジを行うたき工房の姿勢や想いを、少しでも感じ取っていただけると幸いです。

衰退を余儀なくされている活版印刷

羅針盤、火薬とともにルネサンスの三大発明と言われる活版印刷。活版印刷の登場は、社会と歴史に大きな影響をあたえ、今日まで続く「メディア」という概念を、大きく進歩させたと言われています。

しかし、その仕組みは極めて単純なもの。「活字」という鉛でできた文字を一文字ずつ組み合わせて版とし、インクを付けて紙に転写するだけという、極めてアナログなものです。そして、印刷技術や機器が進歩しデジタル化が進むなかで、手間と時間を要するこうしたアナログな手法は、少しずつ衰退を余儀なくされています。

事実、国内においては「活字」を作る際に必要な「活字母型」を作れる職人はすでになく、活字の鋳造を行える会社も、今回紹介する築地活字さんを含めて2社のみが現存するだけ。活版印刷を取り巻く状況は、極めて厳しいものであることは間違いないでしょう。

築地活字 活版印刷 日本のものづくり

活版印刷にしかない、活版印刷だけの魅力

しかし、活版印刷には活版印刷にしかない、活版印刷だけの魅力があります。紙に転写する際にかかる圧力で生まれる独自の凹凸。インクを転写するからこそ生まれる刷りムラ。こうしたアナログならではの表現力や味わいは、デジタルで表現することはできません。
こうした活版印刷ならではの良さを、そして活字の鋳造という失われつつある技術を、後世に伝えていくために立ち上がったのが、築地活字さん。1919(大正8)年創業というたいへん歴史のある会社でありながら、クラウドファンディングにも挑戦するなど、新たな取り組みの数々を精力的に行っています。

築地活字さんのクラウドファンディングはこちら

私たち、たき工房と出会ったのも、そんな取り組みの一環として、都内で行われていたイベントに出展されていたことがきっかけ。当時、すでに「地場産業プロジェクト」を始動させていたたき工房にとって、活版印刷の未来を創ろうと奔走している築地活字さんとの出会いは、運命的な香りすら漂うものでした。

不便だからこそ、伝わる想いがある

運命的な出会いを果たした、築地活字さんとたき工房。それぞれが持つ力を組み合わせ、新たなプロダクトを生み出そうと試行錯誤を重ねるなかで出てきたのが、「便利な世の中だからこそ、あえて活字活版印刷の活字の手紙で想いを伝える」というアイデアでした。

そうして生まれたのが、活版印刷で15文字の手紙を作る「一期一句」という企画。不便だからこそ伝わる想いがあるというコンセプトには、築地活字の社長さんもたいへん共感してくださり、たき工房と築地活字さんにしかできないプロダクトを誕生させることができました。

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さらにたき工房では、この「一期一句」の魅力を伝えるためのショートムービーも制作。ここでも『不便』にフォーカスを当て、“あえて不便なものを選択した人”を使った半ドキュメンタリーとしました。この作品は、日本のものづくり、手仕事の魅力にフォーカスした「ニッポンものづくりフィルムアワード」にて特別賞に輝くなど、大きな反響を得ることができました。

新しい価値の創造に、真摯に向き合い続ける

たき工房では、今回紹介した築地活字さんとの共同プロジェクトのほかにも、さまざまな地場産業とのコラボレーションを実施しました。そこでは、新しいプロダクトの企画開発から、商品PRのための動画制作まで、ワンストップで携わらせていただいています。特に動画制作に関しては、近年の社会的流行の影響もあり、たき工房でも力を入れて取り組んでいる領域の一つ。ぜひ、新プロダクトの開発はもちろん、そこから派生する動画制作など、単なるデザインの枠を超えた制作依頼に関しても、お気軽にたき工房にお声がけいただけますと幸いです。