Customer Story ー課題解決実績ー

~その課題に、デザインの力を。
ともにつくり上げる。成果と未来~

Customer Story # 03

メタバースや生成AIは「手段」。
顧客自身の「知りたい」に応える
コミュニケーションの新しい形。

メタバース / 生成AI / 顧客起点のコミュニケーション設計

株式会社JR東日本クロスステーション デベロップメントカンパニー 新事業戦略部 部長 播田 行博 様 株式会社たきコーポレーション 事業開発部 執行役員 竹嶋 晋

株式会社JR東日本クロスステーション
デベロップメントカンパニー 新事業戦略部 部長 播田 行博 様
株式会社たきコーポレーション 事業開発部 執行役員 竹嶋 晋

2025年4月、JR秋葉原駅構内にオープンしたエキュート秋葉原。同施設は、JR東日本グループが推進する「Beyond Stations 構想」を体現するモデルとして、最新技術を活用した顧客接点の創出や、近年課題となっている人手不足の解決策としての可能性を模索していました。たきコーポレーションは、そうした課題を踏まえ、生成AIによる双方向コミュニケーションを実現する「AIコンシェルジュ」と、メタバース空間でエキュート秋葉原を疑似体験できる「3Dワールド」の2つの機能を兼ね揃えたサービス「Parallel ecute -Akihabara-」をご提案。エキュート秋葉原とお客さまとの新たなつながりを生み出しました。

 

決め手になったのは積み上げてきた
信頼関係と芯をとらえた確かな提案力

2社のつながりは、JR東日本クロスステーションの前身である鉄道会館時代から。会社全体のブランディングにたきコーポレーションが伴走し、さらに合併後には新しいパーパスの策定にも携わるなど、長く信頼関係を築き上げてきました。こうしたお互いへの深い理解が、今回のプロジェクト発足のきっかけになったと、新事業戦略部部長の播田さんは語ります。

「今回のプロジェクトにおいて、構想の初期段階ではざっくりとメタバースのような新しい取り組みがしたいという思いはあったものの、具体的な施策は何も決まっていない状態でした。だからこそ、これまで長く当社のことを見てくれていて、パーパス策定などを通じて私たちのビジョンを深く理解してくれているたきコーポレーションに相談してみることにしたんです」(播田さん)

デベロップメントカンパニー 新事業戦略部 部長 播田 行博 様

デベロップメントカンパニー 新事業戦略部 部長 播田 行博 様

相談を受ける中で、たきコーポレーションが強く意識したのは、エキュートが将来目指すべき姿から逆算して施策を考えていくこと。新たな取り組みに挑戦する際、手段が目的にすり替わってしまうなどといった事例は往々にしてあるものですが、JR東日本クロスステーションのことを深く知る当社だからこそ、本当になすべきことを提案しようと心がけました。

「最終的に生成AIを活用した『AIコンシェルジュ』と、メタバース空間の『3Dワールド』を提案いただいたのですが、デザイン会社でありながらメタバースも作れるということには驚かされましたね。これなら、エキュート秋葉原が目指す理想を実現できると思い、正式に依頼させていただくことにしたんです」(播田さん)

 

期待を超えるアイデアと提案で真のパートナーに

制作において特に意識したのは、エキュート秋葉原を訪れるお客さま、サービスを利用するお客さまにとっての価値を追求していくこと。だからこそ、「AIコンシェルジュ」はより親しみやすく印象にも残りやすいリスのキャラクター(エキュートのリス) を作成し、「3Dワールド」もエキュート秋葉原を再現し実際に施設を歩いているような体験を楽しめる設計としました。 「コンシェルジュと聞いて、何となく人間のモデルをイメージしていたので、はじめてエキュートのリスが出てきた時は衝撃でした。しかし、見れば見るほどかわいらしく、またエキュートらしさも感じさせてくれるその造形に、プロジェクトメンバー全員が惚れ込んでしまったんですよ」(播田さん)

たきコーポレーションはプロジェクトを進める上で、お客さまと共に悩み、考え、提案していくことを大切にしています。時には、お客さまと異なるアイデアが出てくることもありますが、それもひとえに、お客さまの最終的な成功を目指すからこそ。 「たきコーポレーションは、私たち以上に私たちがどういった方向に進むべきかのイメージを持ってくれているように感じますね。最初に提案を聞いた時は、『本当に大丈夫かな』と思うことがあっても、その意図や背景、今後の展開を聞いていくうちに、これしかないと思わせてくれるんです。だからこそ、我々も本気で意見を出していきますし、またその一つひとつにしっかりと対応してくれる。形骸化した言葉ではない、真の意味のパートナーだと感じますね」(播田さん)

 

パーパスのおかげで全員が同じ方向を向き
チャレンジできた

一般的に、新たなチャレンジには対立が付きものですが、このプロジェクトは異なりました。メンバー全員が同じ方向を向き、前向きに議論を重ねて協力しながらやるべきことを決めていくことができたのです。これは、社員がパーパスを共有できていたからだと播田さんは語ります。

「このプロジェクトを通じて、パーパスが浸透してきたことや、その凄さを実感することができました。JR東日本クロスステーションは複数の会社が合併してできた組織なので、元々は各社の文化が混在して混沌とした雰囲気があったんです。しかし、たきコーポレーションとともにパーパスを策定したことで、“お客さまのために何をすべきか”という目標に向けて、皆が連携してチャレンジできるようになりました」(播田さん)

「AIコンシェルジュ」もたくさんの発見につながりました。生成AIを用いたQ&Aサービスのため、お客さまが店頭では聞きづらい質問や意見を、忌憚なくダイレクトに把握できるようになったのです。データを解析して見えてきたのは、お客さまが知りたいのはお店の情報ではなく、自身が知りたい情報であるという気づきでした。

「お客さまが“こういうものはある?”とAIに質問するのを見て、それぞれのストーリーがあって来店しているのだと改めて気づかされました。AIだからこそ相談できるリアルな声を活かしながら、お客さまが知りたい情報にスムーズにつなげられるよう、サービスを改善し続けたいと思います。また、エキュート秋葉原以外の店舗にもメタバースを横展開することも視野に入れています」(播田さん)

 

アイデアを出し合い迅速な施策展開で
ファンを増やしていく

エキュートは駅構内を中心に展開する商業施設なので、お客さまは主に電車を利用する人々です。そのため、これまでのマーケティングでは集客施策よりも来店した人々にどう働きかけるかを重視して考えていました。しかし、エキュートのさらなる発展にはロイヤルカスタマーの育成が必要不可欠です。今後は、AIコンシェルジュで収集できるデータなどを活用し、集客施策を強化していく予定です。 「当初、漠然と思い描いていたメタバースとは全く異なる世界ができあがりました。この形の方が、現場と連動しながらお客さまとつながりが持てるので、発展性があると感じています。今後はデジタルとリアルを融合させたイベントを実施して、エキュートのファンを作っていきたいです」(播田さん)

2025年6月からは、エキュートのリス公式SNSの運用もスタート。エキュートのファンを増やすためには、キャラクターが重要になると考え、KPIを設定した上でスピーディに施策を展開しています。その鍵となっているのは、キャラクターの権利の共同保有です。 「エキュートのリスを共同保有することで、お互いに自由度を持って施策を提案し、実施できるようになりました。当社としても初めての試みですが、キャラクターの可能性を広げるためにも欠かせない取り組みだと感じています。また、たきコーポレーションが自らぬいぐるみを制作してくださり、公式SNSの早期運用を実現できました。一緒に活用することで、施策の相乗効果を生みだしたいですね」(播田さん)

エキュートのファンを増やし、ロイヤルカスタマーを育成するために、これからも双方にアイデアを出し合いさまざまな仕掛けを打っていきます。