Customer Story ー課題解決実績ー
~その課題に、デザインの力を。
ともにつくり上げる。成果と未来~
お客さまとの接点すべてが
ブランドを体現する場所。
クリエイティブも「心地よさ」の一部に。
リブランディング / デザインコンサルティング / 体験価値の向上

株式会社三井不動産 ワークスタイル推進部デザインマネジメント統括 浜田 桂 様
株式会社たきコーポレーション クリエイティブディレクター 藤井 賢二
2017年にサービスを開始した、三井不動産のシェアオフィス「WORK STYLING(ワークスタイリング)」。『働き方に合わせて働く場所を選ぶ時代へ』というコンセプトを掲げた同サービスは、コロナ禍を経てリモートワークが一般化していく中で、改めてその価値を再考。2023年より、大規模なリブランディングに着手しました。たきコーポレーションは、パートナーとしてこのプロジェクトに伴走。ロゴや各種のビジュアル、ホームページのUI/UXや施設内のPOPに至るまで、さまざまな制作を通じてサポートを行っています。
価値を具現化するためのパーパス再考とリブランディング
本プロジェクト開始のきっかけは、2021年頃。コロナ禍に伴い、シェアオフィスの存在意義が見直されていく中で、ワークスタイリングにも変革の機運が高まっていました。そこで三井不動産では、デザイン思考のフレームワーク「バリューグラフ」によって、改めてワークスタイリングの価値を具現化。「すべてのワーカーに『幸せ』な働き方を。」というパーパスを新たに掲げ、大規模なリブランディングを開始しました。そして、リブランディングに伴うさまざまなクリエイティブを担う存在として、たきコーポレーションに白羽の矢が立ちました。
「今回のリブランディングでは、単に施設を新しく綺麗なものにするのではなく、そこで得られる空気感や、感じられる世界観そのものを変えていくことを目標としていました。そうした形のない、感覚的なゴールを目指していくためには、イメージを共有できる人と一緒に進めて行かなければなりません。本プロジェクトにおいて、クリエイティブディレクターとして入っていただいているたきコーポレーションの藤井さんは、大学院時代の先輩後輩という関係性もあり、当時から雑談ベースで色々と相談をしていました。この人たちなら、自分の頭の中にしかないイメージをしっかりと具現化してくれるはず。そう考え、ご依頼させていただくことにしたんです」(浜田さん)

ワークスタイル推進部デザインマネジメント統括 浜田 桂 様
当時を振り返りながらそう語るのは、ワークスタイル推進部の浜田さん。そこからたきコーポレーションは、ワークスタイリング専用のチームを立ち上げ、各種クリエイティブ業務に従事。ロゴをはじめとした各種ビジュアル、Webサイトや施設内のPOPなど、ワークスタイリングとお客さまとの接点となる部分のクリエイティブを一手に引き受けました。 「本プロジェクトでは、藤井さんにクリエイティブディレクターとして入っていただくことに対してフィーをお支払いする、少し特殊な契約とさせていただいています。そうすることで、一つひとつのクリエイティブを個別に契約することなく、スピーディにトライ&エラーを繰り返すことができる環境が整いました。プロジェクトスタートから現在に至るまでで、既に合計500~600ぐらいの制作物を作ってもらっていますね」(浜田さん)

ブランドムービー

施設案内サイネージ

Web サイト

施設内POP
快適で気持ちよく過ごせる空間を目指した
細やかなクリエイティブ
各種クリエイティブを進めるにあたっては、たきコーポレーションのメンバーも積極的にワークスタイリングを利用。自分たちがアプローチすべきお客様の立場となることで、デザインに新たな気付きや視点を取り入れるようにしています。 「ブランドというものは、何か一つの要素さえあれば成り立つというものではなく、すべてが繋がることで出来あがるものだと思っています。受付の言葉遣いや施設に入った時の雰囲気、利用者を示すネックストラップの柄や机に貼ってある抗菌シールに至るまで、すべてが統一されたイメージを持っていなければなりません。そういう意味で、実際の現場で見て味わってデザインに活かしてくれるたきコーポレーションの皆さまにはとっても感謝しています。」(浜田さん)
ワークスタイリングは、機能的価値だけではなく情緒的価値も追求。リモートワークが一般化した今の時代において、オフィス以外の場所で働けること自体の機能的価値は、当たり前になってしまいました。だからこそ、訪れたお客さま一人ひとりがより快適でいい気分で過ごせる、また来たくなる、そんなあたたかい体験をつくっていくことが大切だと言います。
「共有スペースである以上、どうしてもさまざまな注意書きが必要になるのですが、それを書くだけでは体験として成立しません。しかも、私たち施設側の目線で言いたいことを言われても、お客さまの心には刺さらない。それを見た人が、不快にならないことは最低限で、何なら、ちょっとくすっと、ほっこりしてもらえる瞬間にできないか、といつも考えています。そんな、情緒的価値を高める体験をつくるには、単に言い回しを見直すだけでなく、高いデザイン力によるビジュアルでの仕掛けが必要なんです。」(浜田さん)
クリエイティブの制作・改善を続けたことによって、三井不動産社内でもある変化が見られ始めました。日本全国各地にある拠点の担当者から、クリエイティブに関する要望や提案が前向きになされるようになったのです。
課題に向き合い改善を繰り返すことで
ブランドを発展させる
こうした変化を受けて、クリエイティブをさらに進化させ、各拠点でのシナジーを生み出すために、ワークスタイル事業の社内SNSに「気になるチャンネル」を設立する予定です。各拠点で気になったポイントを気軽に共有できる環境を整えることで、リアルタイムにクリエイティブの課題を共有し、スピーディに改善のサイクルを回していけるようになります。
「作ることがゴールになってしまっていたり、一度作ったものを効果が見えないのに使い続けていたり、クリエイティブの強みが最大限に発揮されていないケースは世の中に数多く見られます。生きたクリエイティブにして、体験価値を向上させるためにも、積極的に情報を共有してアイデアを出していきたいですね」(浜田さん)
さらにこうした改善は、単なるビジュアル面での変化だけに留まりません。POPをはじめとするクリエイティブは継続しつつ、その一方で施設のUI/UXといったよりハードな部分での見直しも視野に入れたいと言います。
「入館の仕組みや会議室の入室システムなど、ユーザーのあらゆる接点を改善し、ブランドとしての世界観の統一を目指していけたら嬉しいですね」(浜田さん)
さらに、ワークスタイリングのブランドブックも鋭意制作中です。どのような思いでパーパスやクリエイティブを作り、未来に向けてどのような世界を作っていかなければならないのか。ブランドにまつわる情報をまとめることで、担当者の変更があった場合も思いを引き継げるようになり、外部にも発信してブランドを広めていけるようにすることが狙いです。
「時代によって価値観は変わりますが、そのブランドが大事にする芯の部分は変わりません。誰が担当者となっても、またより幅広いパートナーと協業していくことになっても、ワークスタイリングとしての「幸せな働き方」のあり方を継続し、発展させるためにもブランドブックは不可欠だと考えています。たきコーポレーションの皆さんとは、忖度なく、ああでもない、こうでもないと納得するまで一緒に作っていける信頼関係があるからこそ、妥協せずに本気で突き進んでいけます。これからもずっと、そうやって体験をつくっていきたいですね。」(浜田さん)
積み重ねてきた時間は、まだ通過点。さらなるパートナーシップで、ブランドの価値をともに築いていきます。