TAKI BLOG
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テーマ:デザイン・クリエイターインタビュー
更新日:2026.10.15
アジア初の偉業!国際的広告賞のビジュアル制作を担当しました
こんにちは、たきブログ編集部です。この度、たきコーポレーション所属のデザイナーが、NY ADC(New York Art Directors Club)のビジュアル制作を担当しました。NY ADCとは、1921年に広告美術団体「アート・ディレクターズ・クラブ(ADC)」によって設立された、世界で最も歴史ある広告デザインの国際賞です。日本のプロダクションが本制作を担当するのは、アジア初となる偉業。今回は、制作に携わったCŌBŌ(コーボー)のデザイナー、彌富、恩地、冨ヶ原の3名に、当時を振り返りながら語ってもらいました。
彌富 妙(CŌBŌ所属)
たき工房(現 たきコーポレーション)2020年新卒入社。デザイナー。多摩美術大学 統合デザイン学科卒業。グラフィック・パッケージ制作などに携わっている。趣味はサウナと塩パン作り。
恩地遼平(CŌBŌ所属)
広告・デザイン業界にて経験を積み、2022年にたき工房(現 たきコーポレーション)へ中途入社。現在は、たきコーポレーションCŌBŌのデザイナーとして、広告表現やグラフィックデザインを中心に幅広い制作に携わっている。趣味はサウナ、漫画、ビール。
冨ヶ原由季(CŌBŌ所属)
武蔵野美術大学 大学院 基礎デザイン学コース卒業後、2020年入社。シンプルでどこか人の温度を感じるグラフィックデザインが好きです。映画とサウナが趣味。

大きな挑戦だからこその不安と期待
―はじめに、本プロジェクトにアサインされた時の率直な思いを教えてください。
彌富:世界的かつ歴史ある広告賞のビジュアル制作に挑むということで、プレッシャーは確かにありました。ただ、グラフィックデザインに携わる者としては初めての経験でもあり、クラフト性の高い領域で自分のアイデアを試せることへの期待感や、挑戦してみたいという気持ちの方が強かったです。
恩地:やってみたいという気持ちと、自分に務まるのだろうか・・・という不安が半々という心境でした。足を引っ張らないようにしなければという思いも強くありましたが、一方で頼もしい仲間たちも一緒だったので、自信を持って一歩を踏み出すことができたと感じています。
冨ヶ原:私も恩地さんと同じような気持ちでした。不安はありましたが、今回のメンバーは別の案件でも数々の壁を共に乗り越えてきた仲でした。だからこそ仲間への信頼があり、グラフィックへの関心も後押しとなって、挑戦を決意しました。
現代の琳派を目指す
―デザインのこだわりや制作の流れについて教えてください。
彌富:本制作においては、「NY ADCのトロフィーである、キューブを用いてクジャクを表現する」という大枠のコンセプト自体は、アサインされた時点ですでに決まっていました。その中で、どのようにこのチームらしさを出していくか、デザインの方向性や色味をどう設計していくか・・・そこを考えていくことが、私たちデザイナー陣のスタート地点でした。
冨ヶ原:最初に悩んだのは色味でした。デザインの大枠は決まっていましたが、細部は自由度が高かったため、多くのスタディを重ねました。実際のクジャクが持つ構造色を取り入れたり、日本美術の琳派を思わせる、少しくすんだ色味を試したりしました。また、色味は現代的にしつつも、屏風のように分割された構図にすることで琳派らしさを表現するなど、方向性を検討しながらデザインを詰めていきました。
恩地:定期的に成果物を持ち寄ってディスカッションを行う場がありましたので、まずは自分が良いと思ったものを全力で制作し、そこからお互いの良いところをピックアップしつつ、ブラッシュアップしていくような進め方でしたよね。そうした制作の進め方自体も、普段の業務とは異なる部分もあり、新鮮な気持ちで取り組めました。
彌富:最終的にどのような形に着地するのかは、その時点ではまだ明確にイメージできていなかったので、まずはとにかく手を動かしてみよう、というところからスタートしました。面白いことに、同じテーマで制作していても、デザイナーごとにまったく異なるアプローチや表現が生まれてきたんです。最終的なデザインは、そうしてそれぞれが生み出した要素やパーツを部分的に組み合わせながら、少しずつ形になっていきました。
冨ヶ原:ちなみに日本的な要素を入れたいという思いもあったので、完成したクジャクの顔は、日本画を彷彿とさせるデザインになっています。
恩地:他にも、NY ADCの丸い形のロゴを割印のように配置するなど、細かな所にも日本っぽさを盛り込んでいます。

印刷を通してさらに進化するビジュアル
―デザインはもちろんですが、本プロジェクトでは印刷にもこだわられたんですよね?
彌富:そうなんです。さまざまな色味のパターンを検証していく中で、クジャクの持つ構造色を軸に据えつつ、琳派を感じさせるような重厚感のある色彩を多く取り入れていきました。また、それらをポスターとして印刷した際に最も美しく見せるにはどうすべきか、印刷会社さんとも密に連携しながら検討を重ねていきました。
恩地:キューブが重なっているデザインのところは、印刷によってインクを重ねることで立体感を演出できるなど、デジタルとは違うアナログならではの表現方法がたくさんあって、それも面白かったですね。クジャクの羽に見られる目のような模様に特色を用いるといった、印刷ならではの発想も非常に印象的で、自身にとっても新たな気づきや学びにつながりました。
冨ヶ原:紙自体にもこだわっています。最終的には「新局紙」という、和紙のような表情を持つ特別な紙が選ばれました。デザインの色合いと紙の表情が重なることで、より印象深い仕上がりになっていると感じました。
彌富:最初にローンチしたのは、サイトのバナー画像だったのですが、そこでもテクスチャーとして和紙のようなニュアンスを入れていました。ただ、実際に印刷することで、よりそのデザインにすることの意味が深まったように思いますね。
恩地:とはいえ、印刷の過程そのものは決して楽ではなかったですよね。クジャクのデザインをそれぞれの担当を持って対応したのですが、データがそれぞれ複雑な分、他の人に手伝ってもらうことはできません。自分自身の責任で作業を進めていかなければならず、そこのプレッシャーはかなり大きかったです。
冨ヶ原:印刷後にポスター同士が繋がる部分は、接合部の要素が合っているかを確認する必要があったので、丁寧に確認作業を行いました。原寸で印刷して壁に貼り、色の塗り残しや違いを一つずつ確認したのも良い思い出です。

高い挑戦心を胸に、これからも進んでいく
―ちなみに、皆さんは2026年度から発足した新カンパニー「CŌBŌ」のメンバーなんですよね。CŌBŌとはどのようなカンパニーなのでしょうか?
彌富:CŌBŌは、弊社のカンパニーの「ZERO」からさらに独立する形で誕生した、実験的なカンパニーです。“VISUAL CRAFT COMPANY”と銘打ち、グラフィックデザインを起点にクリエイティブの可能性を探っていくことを使命としています。通常のデザイン案件はもちろん、今回のNY ADCのような野心的なチャレンジも積極的に行っていくことで、さらなる突破力やスピード感を持ったカンパニーを目指していきます。
―最後に、今回のプロジェクトも踏まえた、今後の目標について教えてください。
恩地:普段とは異なる業務で、このような大規模な案件に関われたことは、自分にとってとても良い経験になりました。その中では、まだまだ自分には足りていないなと感じるところもありましたので、次の成長のきっかけにしていきたいですね。
彌富:印刷に関するさまざまな技術や技法、紙の選定など、初めての経験を多くすることができました。また、普段はタレントやカメラマン、レタッチャーの方など、たくさんのプロがそれぞれの領域で責任を持って仕事を全うしていきますが、今回の案件では最初から最後まで自分たちで対応していく必要があり、それも新鮮でしたね。ここで得た知識や経験を生かして、チームやカンパニーの底上げに繋げていきたいと思います。
冨ヶ原:今回のプロジェクトに取り組む中で、大学時代のことを思い出しました。ミーティングの時間はときに講義のようでもあり、そこから手探りで皆で作り上げていく過程には、どこか懐かしさと楽しさを感じました。改めて自分はグラフィックが好きなのだと実感しましたし、この熱量を日々の仕事にも生かしていけたら嬉しく思います。






