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制作アシスト室・校正チーム/チーフ
鈴木 理

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校正チームブログ
たき工房には、文字校正などを専門的に行う制作アシスト室・校正チーム(以下 校正チーム)があります。私はチーフの鈴木と申します。いわゆる「校正部」というのは、印刷会社や新聞・出版社などには必ずある部署ですが、デザイン制作会社で設けているところは、実はあまりありません。では、なぜたき工房にはあるのか? どんな使命を持ち、そしてどのような取り組みを行っているのか。そのあたりをお話しさせていただきます。

鈴木 理
たき工房 制作アシスト室・校正 チーフ。
1994年に入社しデザイナー・アートディレクターとして務め、新聞社出向と日本エディタースクールの修了を経て2017年から制作アシスト室の校正チーフに従事。デザイナーの知見を生かしたロゴマニュアルの把握など、デザインの整合性を探る校正が得意分野。

校正の専門チームとして、5年前にスタート

以前は、校正の専門職ではないコピーライターが文字管理等を行っていましたが、コピーライターの関わらない案件もあるため、一部の制作チームが校正スタッフをそれぞれで用意していました。
社内の校正者が別々の部署に所属していましたが、それではミスを防ぐことが難しいということと、たき工房が関わる案件、すべての品質を確保するという観点から5年前に一つのチームに統合され今に至っています。

現在「校正チーム」は、校正経験者や編集者など、専門スタッフで構成されていますが、もともとはデザイナーだった私が校正スタッフになった理由は、校正原稿を制作物としてデザイナー目線で見られることと、新聞社出向時に校閲部と深く関わる仕事をしていた経験があったからです。そして改めて、編集者や校正者を養成する学校に通って専門的な校正・校閲について習得、校正者になりました。

校正とは、簡単にいうと元原稿と照らし合わせて誤植等が無いかをチェックすること。また校閲とはもう少し踏み込んで不適切表現の有無や、原稿内の論理構成に矛盾が無いかまで、幅広くチェックすること。というように定義されていますが、校正チームでは可能な限り校正・校閲の区別なく、図版ふくめての綿密なチェックを手がけています。場合によっては、通常の校正では見落とされがちな「色」などの部分も指摘した事でミスを防ぐことができたケースもありました。

クライアントから、より信頼されるために

たき工房は、デザインやコピーを創る力には長けています。一方で細かい注釈や規約、ロゴのレギュレーションや図版の精度などにまで踏み込んで目を配るとなると、これがなかなか難しい作業です。
せっかく苦労して仕上げた制作物なのに、見落しや小さなミスで台無しになってしまうことも……。それは個人・チームの失態になるだけでなく、大切なクライアントからの信頼を失い、会社に損害を与えることにもなり兼ねないわけです。そんな事態を未然に防ぐために、そして安心してクリエイティブできる環境を提供するためにも、私たち校正チームは存在しています。

また、たき工房では、ロゴの規定集などの制作も手がけています。いわゆるロゴマニュアルですが、元原稿が無く、見比べるデータも無い場合もあります。そういう時は文章を校閲して整えたり、ロゴの比率などの数値も調べたりなど、ゼロから作り上げる仕事にも私たちのチームは携わっています。

校正チームブログ資料

 

いずれにしても、制作物の品質管理を徹底することは、デザインの精度をより高め、クライアントからの信頼を確保することにつながります。まさに、これが使命なんです。だからこそ校正チームは不可欠な存在だと自負しています。

校正時間の確保は、とても大切

最近は、従来のグラフィックだけでなく、Webや動画の案件なども増えてきました。どちらもリモートツールなどを活用して、制作者とコミュニケーションを取りながら、案件の背景やチェックポイントなどを確認したうえで作業していますので、精度は上がっていると思います。

また、校正チームには、他の案件での誤字・脱字の知見も集約されていますので、多角的に校正できることも強みになっています。

ただ、校正時間の確保という点については、制作でも校正チームでも悩みどころです。リスクの大きさは理解していますが、スケジュールにきっちりと校正日を組み込むことは、納期までのスピードが求められることもあり、難しい場合もあったりします。
特にWebの場合はすぐに修正できるから、という理由で後回しになることも少なくありません。しかし、ネット上に公開してしまうと拡散も速い、ということも認識しなければいけません。

校正は信頼と品質の確保という点で大変重要ですから、たき工房ではできる限りスケジュールに組み込むことを心がけています。

すべての社員が、校正の重要性を共有

校正の専門チームがあるからといって、たき工房の制作スタッフはチェックしないのかというとそれは違います。デザイナーもコピーライターも、またプロデューサーも、それぞれが担当パートを中心に責任を持って確認し、そのうえで、校正チームに最終的なチェックを依頼する、いわゆるダブルチェック体制で臨んでいます。

さらにこうした意識をより社内に浸透させるために、全社員に対してはもちろん、新入社員に対しても校正研修を行い、新人の段階から誤字・脱字の落とし穴や校正履歴の作り方など、多様なスキルを養い品質向上に努めています。

私はこの点も、たき工房の強みのひとつなんじゃないかな、と思っています。

制作のパートナーとして、これからも

Withコロナ下にあって、私たち校正チームも、ほぼ在宅で作業しています。積極的にデジタルを活用しての「在宅校正」という新しいスタイルに取り組み、成果も出しています。

最初は、出力紙を直接は見られないため不安もありました。でも、続けてきてPDFによる校正の方がむしろ、ペーパーレスにもなるし、将来ai技術などを利用したデジタル校正への準備としても、今の在宅勤務が業務としては、あっているのではないかと思っているぐらいです。
そして、社内の制作スタッフも過去のやりかたに囚われず、あらたに決めたPDFでの確認ルールや校正依頼フローの徹底に協力してくれたおかげで進行はスムーズです。

校正の仕事は、デザイナーだった私にとって、多彩な制作物の最後までを見届けられることがなによりの喜びです。責任感や緊張感は常にありますが、私はポジティブなプレッシャーと捉えて楽しんでいます。

たき工房の品質管理の要として、クリエイターたちの作品を世に送り出すための制作のパートナーとして、これからも、しっかりアシストしていきたいと思っています。