TAKI BLOG
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更新日:2026.08.12
ノンコピーライターのための提案資料コピーライティング術 〜伝わる言葉は、うまい文章ではなく「相手の頭の中」からつくられる〜
デジタル制作カンパニーZERO
コピーライター/ディレクター/プランナー
林健太


こんにちは。たきコーポレーション デザインコンサル事業部の林です。これまで、さまざまなお客さまのお仕事でコピーライティングや企画提案に携わってきました。今回、その経験を活かし、社内提案資料などですぐに使えるライティングのノウハウをお届けします。
林健太(ZERO デザインコンサル事業部所属)
たき工房(現たきコーポレーション)2007年入社。コピーライターとして培った言語化力を軸に、企業のブランドスローガンからキャンペーン企画、販促ツールまで一貫して手がけるクリエイティブと戦略を横断させるディレクター。UXインテリジェンス協会 UX検定基礎/応用、ウェブ解析士取得
INDEX
書くことと、伝えることは別モノ
「内容は悪くないはずなのに、なぜか提案が通らない」
企画書などの提案資料をつくっていると、そんな経験はないでしょうか。データは揃っている。ロジックも間違っていない。資料もきれいに整えている。それでも、会議でいまひとつ反応が薄い……その原因は、言葉に問題があるのかもしれません。
多くの提案資料で足りていないのは「相手が理解しやすいカタチに、情報を変換すること」です。そこで役立つのがコピーライティングの発想法です。
コピーライティングというと、広告のキャッチコピーや、商品を魅力的に見せるために、特別なノウハウを使って言葉をつくっていると思うかもしれません。でも、コピーライティングの本質は、もっと身近なところにあります。それは、企業が伝えたいことを、ターゲットが求める言葉にすること。「届ける相手の頭の中を想像し、理解しやすい順番と言葉に変え、そして、次の行動につなげること」です。
これはコピーライターだけが使う技術ではありません。誰かに企画を提案するとき。新しい取り組みを説明するとき。予算を取りたいとき。他部署に協力をお願いするとき。
仕事の中には、たくさんの「伝えて、動いてもらう場面」があります。そんなときに、大切なのが「言葉を考える前に、相手の頭の中を考える。」ことです。ここから、伝わる提案資料づくりがはじまります。
結論で姿勢をつくり、コンテキストで納得につなげる
伝えることの基本を学んだ次は、資料の設計についてお話しします。
提案資料では、まず「何を提案するのか」と「相手に何を判断してほしいのか」を示すことが大切です。結論が分からないまま説明が続くと、聞き手は「この話はどこに向かっているのだろう」と迷ってしまいます。反対に、最初に話の行き先が示されていれば、その後の説明を、何のための情報なのか理解しながら聞くことができます。
なので、まず「結論」そして「何を判断してほしいか」を伝えます。これだけで、相手が話を聞くための姿勢を整えられます。
次に大切になるのが、コンテキスト(文脈)です。コンテキストとは、相手が結論を理解し、判断するために必要な前提や背景のことです。結論に続けて、背景を伝えることで、聞き手は「なるほど。だから必要なのか」と理解しやすくなります。
でも、重要なのは、背景を長く説明することではありません。相手の頭の中にある疑問を想像し、その疑問に答えるために必要な情報を選ぶことです。なので、資料をつくる前に、次のことを書き出してみましょう。
「相手は最初に何を疑問に思うだろう」「どこに不安を感じるだろう」「何が分かれば判断できるだろう」その答えをもとに、説明の順番を組み立てます。
社内提案で重要なのは、情報を多く並べることではありません。まず結論で聴く姿勢を整え、そのうえで、相手の疑問や不安に沿って必要な背景を伝えることです。
コンセプトワードで、提案を持ち帰ってもらう
結論とコンテキストを整理することで、提案は理解しやすくなります。では、会議が終わったあとにも、その提案を覚えていてもらうにはどうすればよいのでしょうか。そこで重要になるのが、提案全体を一言で表すコンセプトワードです。
たとえば、『社内情報共有改善プロジェクト』よりも『探さない会社になる』
と言った方が、目指す状態は記憶に残ります。良いコンセプトワードとは、目指す方向を示す旗となる言葉です。提案全体を一言で思い出せるようにする言葉です。
会議が終わったあと、「あの“探さない会社”の提案だけど」と誰かが話し始めたら、そのコンセプトワードは機能しています。
最後に、そんなコンセプトワードのつくり方のコツをお伝えします。
印象に残す、5つのコンセプトワードのつくり方
コンセプトワードは、単なるタイトルやキャッチコピーではありません。
「この提案によって、何を実現したいのか」「私たちは、どこを目指すのか」を、関係者が共有するための旗のような言葉です。そのため、企画とコンセプトは非常に密接な関係です。つまり、コンセプトを考えることは企画を考えることに通じます。
いつもの見方を少し変え、提案の価値が伝わる切り口を見つけることが大切です。そんな発想を生み出すための5つの方法を紹介します。

1.呼び名を変える 「A→A’」
同じものでも、呼び方を変えると、受け取られ方が変わります。
有名な話だと「喫茶店」を第三の居場所と捉え直し、その価値を「サードプレイス」という言葉で示した例があります。同じように、リーダー研修を、「現場を変える改善リーダー研修」と価値を明確にして呼び名を変えてみると、その施策が持つ役割や期待が見えやすくなります。
2.身近なものにたとえる 「AみたいなB」
新しい仕組みや抽象的な考え方は、相手が知っているものにたとえると伝わりやすくなります。
たとえば、気軽に立ち寄れる社内窓口のコンセプトであれば「コンビニみたいな社内相談窓口」と表現することで、まだ形のない提案でも、相手が具体的なイメージを持ちやすくなります。
3.常識やマイナスをひっくり返す 「A ↗︎ ∀」
弱みや欠点と思われている要素を、視点を変えることで、新しい価値として捉え直す方法です。
たとえば、「古い」は「ヴィンテージ」、「不揃い」は「個性」といったように表現できます。社内提案であれば、「人員をかけられない」は「意思決定を高める」と捉え直すこともできます。
あくまでも、無理にポジティブな言葉へ置き換えるのではありません。別の角度から見たときに、その特徴がどのような魅力やメリットにつながるのかを考えることが大切です。
4.組み合わせる要素をずらす 「A+C」
すでにあるものに、これまでとは違う要素を組み合わせ、新しい価値を見つける方法です。
Aはそのままにして、時間、場所、対象、使い方など、もう一方の要素をずらしてみます。たとえば、社内研修は、会議室に集まり、まとまった時間を取って受けるものだと考えられがちです。そこで、社内研修の「1時間」を「朝の5分」にずらすことで、「朝の5分で学べるマイクロ研修」という新しい形が生まれます。たとえば、短い動画などで1テーマずつ学べる研修として設計できます。
5.反対の要素を組み合わせる A×∀
一見、両立しないように見える二つの要素を組み合わせると、意外性のあるコンセプトが生まれます。
たとえば、「自由に動ける標準化」「速くて、ぶれない意思決定」「管理しないための管理ツール」「まじめに楽しいコンプライアンス研修」といった表現です。あえて正反対の言葉を組み合わせることで意外なアイデアや表現が生まれるものです。
伝わる資料づくりで大切なのは、うまい文章を書くことではありません。相手の疑問や不安を想像し、必要な情報を整理し、目指す方向を共有できる言葉にすることです。ぜひ、次の提案資料から試してみてください。
伝わる言葉から、事業を動かす力へ
たきコーポレーション デザインコンサル事業部では、今回ご紹介したコピーライティングやコンセプト設計の技術を活かし、社内での意思決定や合意形成、事業のストーリーづくりをサポートしています。
課題はあるけれど、うまく整理できない。目指す方向は見えているけれど、社内に伝わる言葉になっていない。そんな悩みに対して、相手の頭の中を起点に情報を組み立て、関係者が同じ方向を向ける言葉やストーリーへと変えていきます。
事業や組織の伝え方にお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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