TAKIブログ
たきブログ編集部

こんにちは、たきブログ編集部です。今回は2025年10月18日(土)にたきコーポレーションのUXデザインカンパニーIDEAL主催によって開催された、「Learning UX Design Conference 2025 in KYOTO」内のプレゼンテーション「UXプロジェクトの中に潜む“もう一つのUX”とは」ついて、当日の様子を抜粋しながらご紹介します。

経験して初めて分かった、リーダーの本当の役割
当日は、UXデザインのプロトタイプ展示や実践的なセッションなど、UXの“今”を体験できるコンテンツを多数ご用意。また、デザインの専門家や、IDEALのメンバー、IDEALのメンバーが講師を務める大学の学生が登壇するプレゼンテーションも実施。
専門性の高いイベントではありましたが、会場内は終始和やかな雰囲気でした。多彩なプログラムを通じ、参加者同士が気軽に交流を深められる場となりました。

和やかに参加者と交流する弊社社員の様子
プレゼンテーションでは、IDEAL所属のUI/UXデザイナー大倉萌華が、「UXプロジェクトの中に潜む“もう一つのUX”とは?」というテーマで登壇。たきコーポレーションで培ったこれまでの学びについて、その率直な気持ちを語りました。
登壇の冒頭、大倉は自身の経験も踏まえながら以下のよう問いかけます。
大倉:今日ここに集まっていただいている皆さんの中には、日々誰かの体験をより良くするために仕事に取り組んでいるという方も多いと思います。ただ一方で、一緒に働く“仲間の体験”を大切にできているでしょうか?
私は2022年に新卒で入社し、そこからは自身の成長や目の前の業務に取り組むことで精いっぱいになってしまい、どこか一緒に仕事をしている人の存在を後回しにしていたように思います。しかし2025年、社内研修プロジェクトを通じて初のリーダーを務め、そこで大きな学びを得ました。今回はそこで感じた、リーダーの大切な役割についてお伝えしていければと思います。
ことの発端となったのは、社内研修の一環として始まった、医療系サービスの企画・開発プロジェクト。実務の中で求められるUX業務の領域が広がる中で、若手が部分的な作業に留まってしまい、サービスの全体像を把握しづらく、成長の実感が得にくい環境になっている現状がありました。それらを打破するための施策として、サービス開発という実践的なプロジェクトを、新入社員3名を含めた計6名のメンバーで行うことになったのです。
私は当初、リーダーとはみんなを引っ張っていくものだと思っていました。しかし、入社4年目の自分がみんなを引っ張っていくほどの実力はないし、そもそも一人で引っ張るのは大変すぎる。そうして色々と試行錯誤する中で至った結論が、リーダーとして“安心して挑戦できる場を支える”ということです。
チームを機能させるために必要な3つの要素
大倉は、安心して挑戦できる場を支えるためには、3つのポイントがあると話します。
大倉:1つ目は、「迷い」を共有できる仕組みをつくることです。新卒入社して間もない頃というのは、周りは先輩ばかり、みんな忙しそうで、話しかけることをためらってしまいます。特に私の場合、入社時はコロナ禍で在宅勤務。社内チャットで質問しようにも、迷惑じゃないかな、どんな反応をされるのかなと、不安でいっぱいでした。今でこそ、在宅ワークの比重は減り、直接のコミュニケーションもできる環境にはなっていますが、それでも新卒の話しかけにくさというのは、いまだ健在だと思います。
そこで行ったのが、毎週2時間の打ち合わせ時間を設け、試行錯誤を話せる場をつくるということです。ただ始まったばかりの時は、発言が少なかったり、反応が少なかったり、期待する効果をすぐに得ることはできませんでした。後々振り返ったとき、新卒の3名から「関係性が浅い中で意見を出すのが怖かった」「経験や自信がないので発言できない」「できないことが多くて悔しさを感じていた」という声がありましたね。
ただ、3ヶ月ほどプロジェクトを進めていくと、少しずつ変化が見られました。中でも大きなきっかけになったのは、本イベントでの展示用パネルを制作するために、リモートとリアルを組み合わせた打ち合わせを3週間ほど行ったこと。特にリアルの場では、話しやすい雰囲気も相まって、「こうするといいんじゃない?」「こうするともっと綺麗に見えるかも」など、互いに意見を出し合う様子が見られるようになっていったんです。その後行った振り返り会でも、一人で抱え込まず、相談や意見交換をすることが自分の成長につながると実感 できたと、いう声が聞けました。
こうした経験から大倉は、信頼関係というのは、プロジェクトをうまく行かせることではなく、その過程でどれだけ対話ができたか、その質と量で決まるということを学んだと言います。
大倉:2つ目のポイントは、“自分ごと”にしてもらうこと。1から10まで上司に言われた通りにするよりも、ある程度任せてもらった方が試行錯誤しながら動くため、自身の経験値が上がっていく実感を得られたという経験がありました。そのため本プロジェクトでは、分担する作業を指名制ではなく挙手制で振り分けるようにしました。
ただ、機能やフェーズなど大きなまとまりで分担を行ったので、人によっては難易度がかなり高まってしまったり、修正回数増加によって自信喪失を誘発してしまったりする危険性もありました。そうした危険を避けるため、フィードバックを丁寧に行うようにしたり、判断に迷う時は懸念点や考えていることを細かく説明し、他のメンバーにも意見を求められる場を設けたりなど、安心して作業が進められる環境の構築にはかなり気を遣いましたね。
こうした取り組みの結果、プロジェクトに参加したメンバーからは「試行錯誤をしながら前へと進み、最終的に形として残せたことが自信につながった」という声が出るなど、確かな手ごたえを実感。このことから、成長は“正解を見つけた量”ではなく“自分なりに試行錯誤した量”で決まるということを改めて感じたと、大倉は語りました。
大倉:最後の3つ目は、“助け合い”を文化にする、です。個人的に私は、自分の中に答えがあることは少ないと思っています。特に経験やスキルが浅く、自分だけでできることが少ない若手の時はなおさらですね。自分一人でやろうとするのではなく、周りにいる人に協力してもらう方が、結果的により良いものをつくることができるんです。
そこで実際に行ったのが、私自身が率先してベテラン社員と交流し、何度もフィードバックをもらうということです。こうして私がベテランにフィードバックをもらう姿勢を見せることで、他のメンバーからも質問をする姿勢が見られるようになるなど、行動が変化していきました。
質問しやすい空気感やお願いしやすい環境をチームに浸透させれば、「助かった」「助けることができた」という経験が積み重なっていきます。そうすることで、助け合いが文化になっていきます。
経験を糧に成長し、これからも挑戦を続けたい
チームの変化を間近に見ることで、大倉自身の考え方も大きく変わったと言います。それまでは、リーダーとして大切なのは引っぱることだと思っていたところから、みんなを支えること、失敗を防ぐのではなく失敗しても戻ってこられる環境をつくること。“安心して挑戦できる場を支える”ことこそが、リーダーの本懐である。そうした気付きを得ることができたのです。こうした経験を踏まえ、大倉は以下のように振り返ります。
大倉:振り返って思うのは、チームは必ずしも完璧である必要はないということです。本当に良いチームというのは、失敗しないチームではなく、安心して挑戦できるチームだと言えるのではないでしょうか。例え失敗しても、それを糧に成長することができる。そんな空気をつくることが、リーダーとして必要な要素だと思います。だからこそこれからも、挑戦できるチームになっているかを念頭に置きながら、色んな仕事に向き合っていきたいと思います。

大倉のプレゼンテーションを聞く観客の様子
■登壇者詳細
大倉萌華(IDEAL所属)
たき工房(現:たきコーポレーション)2022年入社。UIUXデザイナー。東京工科大学デザイン学部卒業。サービスやWebなどのリサーチから関わり、UIUXデザインを中心に新聞広告や、ロゴ制作など多岐にわたるデザインを制作。趣味は旅行。
