TAKIブログ
テーマ:クリエイターインタビュー
更新日:2026.01.09
明星大学にて「プロモーション映像制作の特別授業」を実施しました
動画・スチール制作カンパニーFOCUS
クリエイティブディレクター
佐藤佳亮

動画・スチール制作カンパニーFOCUS
映像プロデューサー
佐川裕亮


たきコーポレーションでは、6月中旬から7月終わりにかけて、明星大学にて特別授業を行いました。そこで今回は、講師を担当した動画・スチール制作カンパニーFOCUS所属の佐藤・佐川の両名に、当時の様子や学びについて語っていただきました。
佐藤佳亮(FOCUS所属)
2007年たきコーポレーション入社。クリエイティブディレクターとして、さまざまなプロジェクトに関わる。最近の趣味は佐川さんの隣に座り、オヤジギャグを堪能すること。
佐川裕亮(FOCUS所属)
CM制作プロダクション、動画制作ベンチャー会社を経て2022年たきコーポレーションFocusに中途入社。映像プロデューサーとして、さまざまな動画制作に関わる。最近の趣味はslackスタンプ作成、ホットヨガ、家庭菜園。
映像制作のイロハを学ぶ、特別カリキュラム
―本プロジェクトが始動したきっかけと、当初感じていた思いについて教えてください。
佐藤:明星大学で動画制作の授業をするという本プロジェクトは、武蔵野美術大学の講師兼クリエイターであり、なおかつたきコーポレーションの外部パートナーでもあった山崎連基さんからのご紹介によってスタートしました。私自身、会社では新人研修の講師を務めていましたので、教育に関する経験値はあるという自負こそありましたが、大学の授業は初めてでしたから、そこの不安は正直ありました。
佐川:私個人としてはなかなかない機会ですし、楽しみな気持ちの方が強かったですね。またこの経験をFOCUS内で活かせるとも思いましたし、ぜひやろうという感じでした。
―カリキュラムを設計する中で、意識したことはありますか?
佐藤:私たちの授業に参加する学生は、すでに別の授業で編集ソフトの使い方などは学んでいたため、より実践的な内容を目指しました。そこで授業では、「プロモーション映像の作り方」をテーマに、製品やサービス分析、企画書の作成やロケハン・シナハン、さらに編集とプレゼンといった具合にカリキュラムを構築。実際の映像制作における業務の流れとほぼ同じになるよう意識しました。また仕事として映像を作る際にぶつかりがちな壁の話など、できるだけリアルな、生の声を届けられるようにしましたね。
佐川:カリキュラムの最後に、制作物のプレゼンも行ってもらいました。1人あたり3分という短いプレゼンテーション時間なのですが、短い時間で自分の制作物をわかりやすく伝えることは、仕事において非常に重要なスキルとなります。単に映像を作るだけでなく、それを仕事にしていくためのスキルが総合的に学べる内容になっていたと思います。

授業のカリキュラム
自分に矢印を向けてもらうことの大変さを改めて実感
―実際に授業をしていく中で、大変だったことはありますか?
佐藤:授業のスタートが1限だったので、朝が早かったことも大変なことの一つだったかもしれません(笑)。9時からの授業に合わせて早めに準備をする必要があり、いつもの仕事よりも早い時間から行動していました。
また、私たちが普段使っている専門用語が、思ったように伝わらないこともありましたね。例えば、本編集のことを指して「次回の授業は“オンライン編集”です」とアナウンスしたところ、みんなは「ビデオ通話のオンライン授業」と受け取ってしまったようで、教室ではなく自宅のパソコン前で待機していた…ということもありました。“オンライン編集”の意味自体は事前に説明していたのですが、言葉として紛らわしい部分もあるため、勘違いが起きやすいのも事実。どうしたら誤解が生まれないか、工夫していかないといけないなと思いました。
佐川:私は学生とコミュニケーションを取った経験がまったくかったので、どう向き合っていけばいいのか、つねに試行錯誤していましたよ。どうすれば興味を持ってもらえるようになるのか、言葉遣いやテンションなど、色々と気を遣いましたね。
佐藤:確かに、私もある程度は若い人たちとコミュニケーションを取ってきたつもりでしたが、会社の新人と大学生では、違う部分もかなり多いんだなと感じました。例えば、たきコーポレーションに入社してくる新人は、自分がどんな仕事をしたいかが明確に決まっています。しかし今回の授業で担当した学生たちは、まだこれから進路を決める年代のため、さまざまな道に進んでいきます。そうした学生たちに、この業界に興味をもってもらえるように、広告や映像制作のプロフェッショナルとして、私たち自身が授業を構築して“矢印”を向けてもらうように努力をする。いわば「プレゼンのような姿勢」で臨む必要があり、日常 的にこの状況に向き合っている大学の先生方は本当にすごいと思いました。
佐川:人に教える時は、モチベーターになることが大事なんでしょうね。極端な例を出せば、もしも私たちが若者に大人気のタレントだったら、特別な工夫をしなくても、みんな耳を傾けてくれたと思うんです。それはつまり、講師となる人の人間としての魅力が、学びに大きな影響を及ぼす可能性があるということ。そう考えると、技術を磨いていくのはもちろんですが、同時に人としての魅力を磨いていくことも同じぐらい重要だと言えるかもしれません。
学生に教えることが、自身の学びにも繋がっている
―本プロジェクトを通して、得られた気付きや学びについて教えてください。
佐川:昔に比べ、小さい頃から動画に触れている方が多くなっているからか、作成された映像は形になっているなと思いましたね。ただ、今回のテーマはプロモーション映像であり、その対象となる製品やサービスがあるわけなんですが、そこへの向き合い方という点では、まだまだ個人差があると感じました。
佐藤:確かに、今の大学生は普段からインスタグラムやYouTubeなどを通じて映像を見ている世代ですね。なので、プロモーション映像というのは大体こんな感じというイメージがあったんだと思います。ただ、佐川が言う通り掘り下げは少なかった印象ですね。例えば、AirPodsのプロモーション映像を作るのに、「いつでも音楽が聴ける」という表面的な機能を前面に出してしまうなど、そこからさらに一歩進んで、というところまでできた人は限られていました。
佐川:他にも、撮影するのに特別な機材を使わず、自前のスマホを使っている人も多かったですよね。私たちはプロとして機材にもこだわりを持っていますが、とはいえスマホでもそれなりの映像は撮れてしまう。それを庶⺠的で良いと捉えるのか、専用の機材に比べて劣っていると考えるのか。判断はその時々によるのでしょうが、スマホ撮影もアリだなと気付かされるきっかけになりましたね。
佐藤:汎用的な機材がプロレベルの性能を有するようになってきているからこそ、それを使う人の部分で差が出やすくなってきたと言えるかもしれません。どんな人でもある程度の作品を作ることができるけど、それ以上のクオリティを目指すためにはプロの視点や技術が欠かせない。今回の授業は、プロと呼ばれる人たちが生き残っていくための要素を学ぶきっかけになったと言えるかもしれません。
人に教えることの難しさは、広告制作の難しさにも通じる
―今回の反省点や今後の展望があれば教えてください。
佐藤:初回だったこともあり、授業内容についてまだブラッシュアップできる部分もあるかなと思います。だからこそ、来年もやれるのであればやりたいと考えています。もし次回があるのであれば、モノとかコトの本質を見抜く力を育む、ということにもう少し力を入れていきたいですね。今回の授業では、商品やサービスを見た時に感じた最初のイメージで映像を作り始めてしまう人が多く、それではただ単に映像を作っただけになってしまいます。プロモーション映像と言うからには、もっと人の心を動かし、購買意欲を刺激するものでなくてはいけないわけですから、そこの部分をどうやって考えて行けばよいのかも含めて、しっかり教えていきたいですね。
佐川:基本の流れとしては今回のものを踏襲しつつ、あとは細かなディテールですよね。あと印象に残っている出来事として、学生から「何がわからないかわからない」という質問をされたんですよ。そのため一方的に知識や技術を教えるというよりは、もっと双方向のコミュニケーションを増やせれば良いのかなとも思います。それこそ、1コマ90分の最後の15分は質問時間にするといった具合に、学生側からもアクションを起こせる仕掛けがあっても良いかもしれません。
佐藤:最終的な感想としては学びの多い時間になったと感じています。特に、学生を相手に授業をすることで、人の“矢印”を制御し、一定の方向へ向かせることの難しさに改めて気が付きました。広告制作も、不特定多数の矢印を制御し、商品やサービスに向けさせることこそが本質ですから、そうした制作の原点に立ち返ることができたと言えるかもしれませんね。
佐川:自分の思いや気持ちを伝えるだけでは不十分で、相手に伝わったと感じてもらうための工夫も同時に考えていかなければいけない。何となく感覚で理解していたその事実を、今回のプロジェクトを通して再確認しました。相手を意識し、コミュニケーションの方法を工夫するということを、改めて考えていきたいと思います。
