TAKI Magazineー 制作における『知』を紐解く ー
ランディングページはコンバージョンに特化。その目的と特徴は?
企業のホームページは、対象者に向けてさまざまな情報発信を行い、信頼関係を築くことを第一の目的としています。そのほかにも、認知向上やイメージのアップ、各種お問い合わせの対応、商品・サービスの販売、新規顧客の獲得、求人募集などがあります。
信頼関係を第一の目的としたホームページに対して、ランディングページとは、どのようなものでしょうか? ランディングページは「広義のランディングページ」と「狭義のランディングページ」があり、それらは何が違うのでしょうか?
今回は、ランディングページのポイントや考え方に触れたいと思います。
広義のランディングページ
「広義のランディングページ」は、ホームページに訪問者が最初に訪れたページです。最初に訪れたページがトップページの場合、そのページがランディングページになります。例えば会社情報・製品のサービス情報・投資家情報・採用情報などに最初に訪れると、そのページがランディングページとなります。
アクセス解析ツールのランディングページも「広義のランディングページ」です。ホームページにもよりますが、アクセス解析ツールが示すランディングページでの、トップページの集客(割合)は2割から3割程度で、それ以外は下層ページです。
そのため、ホームページ全体のアクセス数を増やすには、トップページだけにこだわるのではなく、残りの下層ページの流入量やページ数を増やすことで、ホームページ全体の集客が増えることにつながります。また、下層ページではSEO対策とユーザーのニーズに合う情報提供を継続することで、ホームページが有効に機能します。
狭義のランディングページの目的
ランディングページは、英文表記の「Landing Page」を略してLP(エルピー)とも呼ばれます。ランディングは「着地」の意味があり、訪問者が訪れる最初のページとされています。
Webマーケティングで一般的にいわれるのが「狭義のランディングページ」です。流入元は、Web広告(リスティング広告・ディスプレイ広告など)、SNS広告・記事広告・自然検索などです。
企業のホームページの目的は、企業の認知向上、商品およびサービスの紹介や販売・ブランディングなど、さまざまにあります。それに対し「狭義のランディングページ」の目的は、ひとつだけです。それは「コンバージョン(Conversion)の達成」です。狭義のランディングページとは、コンバージョンの獲得に特化したページのことを指します。目的をひとつに絞ることで、ターゲットが明確になり、相手のニーズに沿ったコンテンツ設計がしやすくなります。その結果、コンバージョン率の向上が期待できるのです。
1ページにユーザーが知りたい情報をコンパクトに集約することは、知りたいユーザーにとってはメリットがあります。また、訪問したユーザーの行動喚起を促すために、理解・共感・納得・行動につながる理想的なストーリー展開を作成しコンテンツを見せたい順番で見せる訴求ができるのもメリットです。
コンバージョンはWebマーケティングでは「成果」を意味します。何を成果とするのかは企業によって違います。例えば資料請求・お問い合わせ・商品やサービスの注文・購入・予約・会員登録などがあり、これらのアクションが発生した状態をコンバージョンと定義づけしています。
ですが、ホームページにも「お問い合わせ(Contact)ページ」があります。
お客さまあってこその事業活動を行っているので、何らかの「お問い合わせ」ページがあるのは自然です。では狭義のランディングページが必要なのでしょうか? しかも、それを1ページで完結させるのはなぜでしょうか?
狭義のランディングページ の特徴
狭義のランディングページには、コンバージョンの達成を遂行するための特徴があります。
- ・サイズが縦長で1ページで完結
- ・コンバージョンするボタン以外のリンクがほとんどない
- ・レイアウトの制限がない
- ・デザイン的表現の訴求力が強い
- ・コンバージョンボタンのサイズが大きい
ページのサイズが縦長で1ページで完結
ランディングページの内容は、上から順にユーザーの行動喚起を上げていく流れの構成になっています。ページ構成として上から大きく3つに分かれます。
- ①冒頭の「ファーストビュー」:キャッチコピー・メインビジュアルなど
- ②次に「ボディ」:商品やサービスの紹介(オファーの提示)・ベネフィット・エビデンス・共感・お客さまの声(カスタマーボイス)など
- ③最後に「クロージング」:保証・差別化・アクションなど
ランディングページのサイズが縦長になったのは、結果的にそうなったとも言えます。その理由のひとつに、ユーザーに自社の商品やサービスへの理解を求めるだけではなく、ランディングページ内で「行動喚起」させるために、ユーザーに認知から行動実行(資料請求・お問い合わせ・購入などのコンバージョン)までのストーリーを設計したことです。
行動喚起は、CTAとも呼ばれ、Call To Action/コール・トゥ・アクションの略で、具体的な行動を喚起させることです。コンバージョンへ導くボタンを「CTAボタン」とも呼びます。
商品やサービスの良さを伝えるだけなら、それを理解してもらえるよう丁寧に正確にわかりやすく伝えれば良いといえますが、訪問してきたユーザーの行動までも喚起するのはたやすいことではありません。
商品やサービスの特徴やメリットで興味関心や理解を促し、ベネフィットやエビデンスで共感を得て、クロージングでコンバージョンへ誘う最後のひと押しといった、理想とする伝えたい情報の順番で進め、ユーザー心理を踏まえつつ、ユーザーと疑似対話を行いながら説得していきます。そのため、どうしても長くなります。
もうひとつは、スマートフォンの普及に伴い、スマートフォンからの訪問者が増えていることも要因です。スクリーンが縦長なので、ランディングページが見やすいのと、スクロールするのに使いやすいというのもあります。
コンバージョンするリンク以外に、ほとんどリンクがない
ランディングページが長くなると、ページを分ける方法がありますが、分けたページへ遷移することで離脱率が高くなり、コンバージョン率が低くなる可能性があるのでリンクはほとんど設けません。
ホームページは、内部リンクを多く設置することで回遊率が上がり、その結果ユーザーの滞在時間が長くなります。ホームページ運用側は、満足度の高まりを期待するので内部リンクを積極的に張りますが、ランディングページはその逆です。
ユーザーが求めているコンテンツに関係のないニュース情報ページなどに遷移されることは、せっかくストーリー展開したコンテンツの意味がなくなってしまいますので、ランディングページにはコンバージョンにつながるリンク以外、ほとんどリンクは設けません。
言い換えるとランディングページは、他のページへの遷移ができないので、コンバージョンか、直帰かの二者択一になります。それ以外にユーザーの選択肢がないこと、ページが長すぎて途中で飽きたために直帰率が高くなるのがランディングページのデメリットですが、コンテンツを改善し、なるべく直帰率を抑制するとコンバージョンへ導きやすいことが、ほとんどリンクを設けない理由です。
レイアウトの制限がない
前出のようにランディングページには、コンバージョン以外へのリンクはほとんどありませんが、ホームページでは他のページにリンクするためのナビゲーションがあります。グローバルメニュー・サイドメニュー・フッターメニューのなどを設置しなければなりませんが、ランディングページにはこうした、メニューがないのでページ(スクリーン)上のレイアウトの制限が発生しません。したがってデザイン性の自由度は高くなります。
デザイン的表現の訴求力が強い
ランディングページはコンバージョンに特化したページのため、訪問してきたユーザーを最初からしっかりつかまないと、すぐに直帰されて機会を失いますので、ページ冒頭のファーストビューのメインビジュアル(アイキャッチ)はインパクトがあるデザインで強く訴求し、最後のクロージングまでわかりやすいデザインやメリハリのある色調などで誘います。
訴求力が高まるデザインをすることで、行動喚起につながりコンバージョンを獲得する確率を向上させることも可能です。しかし過度なデザインやコピーは、印象を悪くし効果を下げる危険性があります。
直帰を抑制する手法のひとつに、内容の理解を深めてもらうための画像の起用があります。ですが注意しなければならないのは、画像を多用し過ぎるとサクサクとスクロールはされますが、肝心のコンテンツを忘れ去られる場合があるので、しっかり理解してほしい箇所は文章を中心に訴求するなど、効果を踏まえて画像を適切に使用した方がいいでしょう。
コンバージョンボタンのサイズが大きい
ランディングページはコンバージョンボタンが大きいもの特徴です。
デザイン重視のオシャレなランディングページでは、大きなボタンはあまり使われません。一方で、購入をゴールとしたランディングページでは、コンバージョンにつながるボタンを大きく目立たせて配置しているケースが多く見られます。目的によって、デザインのアプローチも変わってくるのです。
コンバージョンボタンのサイズを大きくし、色を使って目立たせるのはアピールするためですが、これもランディングページが、コンバージョンか直帰かの二者択一が要因です。商品やサービスのイメージに合わせた最適なサイズ、色の方が好ましく、大切なのは、コンバージョンボタンの位置が明確にわかることです。
まとめ
「狭義のランディングページ」はコンバージョンの達成に特化しているため、ターゲットのニーズを想定したストーリー設計が欠かせません。1ページ内で完結し、他のページへの遷移を極力避ける構成が基本です。さらに、デザイン性の高い訴求を組み合わせることで、コンバージョン率の向上が期待できます。
また、ランディングページは、必ず効果測定を行い、分析と検証を行い、課題の対策を立案し、それを実施することでより成果につながるように改善を繰り返し行いましょう。そのことをランディングページ最適化(LPO)といいます。今回は、特に狭義のランディングページのポイントや考え方に触れてみました。

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