TAKIブログ
テーマ:デザイン・社内プロジェクト・クリエイターインタビュー
更新日:2025.11.17
社内行事でも発揮されるたきのデザイン力~交流会を通して育つ若手社員の力~
グラフィック制作カンパニーONE
デザイナー
朝野奈緒

グラフィック制作カンパニーONE
デザイナー
村山凜

たきコーポレーションでは恒例行事として、2年目社員が1年目社員との「若手交流会」を実施しています。ただ、そこはたきコーポレーション。デザイン会社だからこそ、ただの交流会では終わりません。今回は、幹事として活躍してくれたグラフィック制作カンパニーONE所属のデザイナー、朝野奈緒と村山凜に、当時の思い出を振り返ってもらいました。

朝野奈緒(ONE所属)
2024 年 多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース卒業。
同年 4 月たきコーポレーション 新卒入社。
二年目で日々成長中です!趣味はダンスで好きな色はオレンジです。
村山凜(ONE所属)
2024年 東京造形大学 グラフィックデザイン専攻領域卒業。
同年 4月たきコーポレーション 新卒入社。
ものづくりが好きです。音楽やお笑いに力をもらいます!
目次
先輩から後輩へ、受け継がれていく伝統行事
村山:たきコーポレーションでは、伝統行事の一つとして、新卒1〜2年目の社員が交流を深める「若手交流会」を実施しています。誰しもそうだと思いますが、社会人1年目というのは右も左もわからず、不安なことも多いもの。そこで、年齢の近い2年目社員との交流を通じて緊張を和らげつつ、安心して働けるようになってもらえればとの思いから、毎年有志が集まり行われているんです。
朝野:中でもたきコーポレーションらしいのが、交流会の中で2年目社員から1年目社員へ向けて、自分たちでデザインしたクリエイティブを贈るという習慣があること。デザイン会社らしい非常にユニークな試みだと思いますし、私たち自身も普段の制作とは異なる自由な発想でデザインに取り組むことができるので、単なる飲み会とは違った、特別な意味を持ったイベントと言えますね。
村山:当然、私たちも1年目の時に先輩方から素晴らしい贈り物をいただきましたので、自分が贈る側に立つというプレッシャーはそれなりにあります。でも、自分の個性を存分に活かしながらクリエイティブにのぞめることへの、ワクワクとした期待感の方が大きかったように思います。
朝野:何をテーマにするか、そのテーマに沿って何をつくるか、すべて自分たちで考え実行できる機会というのは、社会人になるとそうそう得られるものではありません。だからこそ、学生時代に戻ったかのような感覚もありましたね。
前年度を超えるデザインへの挑戦
村山:制作を進めるにあたって、私たちが受け取った前年度の贈り物が「ウェブサイト」とデジタルコンテンツであったため、今年度は「紙で、手に取れるものにしたい」と考えました。また私自身が、学生時代に紙を用いた制作物をよく制作していたことも、理由の一つです。
朝野:そうして紙で何か作ろうとは思ったものの、伝えたいことをまとめるアイデアの議論が増え、なかなか決まらない状況が続いていました。しかし普段はプロデューサーとして働く同期の宮が、「“き”で何か…」とポロッと言ったことから、アイデアが展開。
村山:「奇妙のき」「喜ぶのき」など、「き」という音にはさまざまな漢字を当てはめていくことができるという特徴を活かし、最終的に「基・喜・着・季・聞・奇・希」という7つの“き”でそれぞれ1冊ずつ、計7つの冊子を通して会社紹介をする資料『わかったきになる本』を制作することに決まりました。
朝野:村山さんが発案してくれたこの『わかったきになる本』では、まだ2年目社員であるという若手感と、1年目社員に寄り添っている感の両方を演出できて、とても良いですよね。

それぞれの個性が活きた、唯一無二のクリエイティブ
村山:テーマが決まったところで、実際の制作に移っていくのですが、今回は敢えてプロジェクト全体を統括するアートディレクター(AD)は設けず、それぞれが担当する文字を、それぞれが持つアイデアで自由に制作することにしました。
朝野:以下に、各メンバーが制作した冊子と、そこに込められた思いを紹介します。
・基(社員紹介):村山担当(ONE所属)
基本の基、基本情報ということで、自己紹介がテーマになっています。
たきコーポレーションには、社員の自己紹介などが掲載されている社内用ウェブサイトがあるのですが、それだけでは人物像が分かりにくい部分もありました。そこで、紙の図鑑や相関図のような形式で“キャラクター”を可視化できれば、会話のきっかけにもなるのではと考えました。当初は全社員の写真を撮影し、切り抜いて掲載する予定でしたが、「着るの着」の冊子もあることから、人物をより身近に感じてもらうために、顔アップのデザインに変更しました。提出された写真は硬さがなく、フレンドリーで親しみやすい表情が揃っており、まるでキャラクター図鑑のような冊子に仕上がりました。
・喜(ランチ):三宅担当(ONE所属)
社会人の小さな喜び、会社周辺の美味しいランチスポットをまとめました。おすすめがたくさんあるので、ジャンルや場所が偏らないように厳選し、まとめるのが大変でした。こだわりは、喜のタイポを口に見立てることで食べる要素を出したところです。また料理を写真にし、MAPをイラストにすることで差別化。より料理がイメージできやすいように工夫しました。
・着(服装):劉担当(ONE所属)
社内の方々のファッション紹介ページを制作しました。まず新入社員宛てに制作をするにあたって、見た時にモチベーションが上がるような内容やビジュアルであること、そして自分も素直に楽しんで作れるようなものであることを重視しました。スナップ写真は昔から家にあるデジカメで撮影し、レイアウトは切り抜きっぽい温かみのあるトーンで統一。直接業務や新卒向けのアドバイスに関わる内容ではないからこそ、先輩方や同期それぞれの特色が伝わりやすいような調整に気をつけました。
・季(イベント紹介): 朝野担当(ONE所属)
社内イベントを紹介するので、「イベントはワクワクする」ということを表現したいと考えました。そこで他の冊子を見ると、視覚的情報が中心になっているものが多かったため、差別化のために「単語帳」のような形にしました。色合いも、 季節の季ということで自然を感じる色合いにしています。普段は自分でイラストを描きながらデザインすることが多いのですが、今回はタイポグラフィやイラストを同期に担当してもらい、私は全体のデザインを担いました。個人制作とは違い、提供された素材をどう生かすかを考えるプロセスが新鮮でした。また、通常のクライアントワークでは外部のイラストレーターを起用することもある中、今回は同期と一緒に制作したので、対等な立場で意見を出し合える面白さがあり、新たな学びになりました。
・聞(アドバイス): 竹内担当(ONE所属)
誰にも聞けないけど気になる会社に関してのあれこれや、新卒社員が抱く不安や楽しみに対して2年目が本音で答えるQ&Aのページを作成しました。2年目が伝えたいことや、おもしろいエピソードが多すぎてどの言葉を使用するか選ぶのが大変でした。文字量が多いため、文字の級数や文字組が大変でした。冊子の形状、背景パターン、色の組み合わせにもこだわっています。
・奇(噂話): 鈴木担当(ZERO)
2年目全員にたき社内で起きた奇妙なエピソードを募集しました。共感する内容もあれば、知らなかったこともあり、同期のみんながこの1年でさまざまなことを経験していたんだな〜と思いながら制作しました。「奇妙」がテーマだったので、ポップというよりは少し謎めいた印象になるように色や写真を選びました。紙はひばりを使うことで、新聞のような印象に近付けました。
・希(ラストコメント): 粂田担当(ZERO)
希望がテーマだったので、新卒社員が未来に目を向けていくようなグラフィックを制作しました。いかに新卒社員に希望を持ってもらうかを考えた時に、自分が入社した当時、目をキラキラとさせていたことを思い出しました。そこでモチーフとして光り輝く目を選び、可愛くポップなテイストにしました。また、コピーを添えることでグラフィックに深みが増すように工夫しています。

2年目社員が取り組むからこその意義
村山:今回の取り組みを通じて、改めて「つくることの楽しさ」を実感できたと思います。1年目社員のための会という名目ではありますが、「若手交流会」という名前の通り、私たち2年目にとっても非常に良い機会でした。そして、おそらく現在3年目の先輩方も、同じ思いを抱きながら準備を進めていたのではないかと想像しました。仕事としてデザインに携わると、未知の分野への挑戦や初めての人と一緒に仕事をしたりなど、考えるべきことが多く、どうしても余裕を失いがちです。そんな中で、純粋にものづくりの魅力や、フラットにデザインと向き合う楽しさを味わえる機会は、自分が「何のために働いているのか」を再確認する意味でも、とても大切だと感じました。
朝野:普段の業務では、基本的にクライアントの意向に合わせて制作を進めます。しかし今回の制作では、タイポグラフィ一つをとっても自分のアイデアで進めることができましたし、自分で制作全般を推進しなければならない環境だったからこそ、より能動的にデザインに向き合えるようになったと感じますね。今後年次が上がっていけば、自身が後輩や部下に指示をしながら制作を進行していかなければならない機会も増えるため、その予行演習にもなったと言えるのではないでしょうか。
村山:自分で考え、自分で手を動かすのが好きなのは自覚していましたが、その一方で自分のアイデアをもとに人に作ってもらうことの楽しさも、同時に味わうことができました。実は冊子以外にプロモーション用の映像制作も行ったのですが、その領域が得意な同期の佐藤に協力を依頼し、自分の頭の中のイメージを具現化してもらいました。その過程の中で、伝えることの難しさや個性が合わさることで生まれる新たなデザインの可能性など、大いに学ぶことができました。
「若手交流会」での学びを活かし、次のステップへ
村山:デザインは領域が非常に広く、たとえ良いアイデアが浮かんでも、一人だけですべてを実現できるとは限りません。自分が苦手なことが得意な人がいて、逆に自分が得意なことを苦手とする人もいる。そうした個性を持ち寄ってデザインを完成させていく過程は、とても面白く刺激的です。誰かと一緒に作業することで、自分が思い描いていたものとは違うアウトプットが生まれることもありますが、それが想像を超えるより良いデザインになった時には、大きな喜びを感じます。こうしたデザイナー同士の化学反応を、今後も大切にしていきたいと思います。
朝野:今回、同期のみんなと一緒に制作をしていく中で、それぞれの強みや得意な領域を知ることができました。自分は可愛らしいデザインが得意なのですが、スタイリッシュで格好いいデザインが得意な人がいたり、ポップで明るいデザインが得意な人がいたり、デザインの幅広さを改めて学ぶことができたと感じています。この学びを活かし、今後は可愛いだけでなく、もっと色んな領域に挑戦していきたいと思いますね。そうして自身のデザインの懐を広げつつ、多彩な表現力を身につけたいです。

