TAKI Magazineー 制作における『知』を紐解く ー

投稿日:2025.08.28 更新日:2025.08.28

成果を最大化するホワイトペーパー!外注する企業が知るべき制作・活用戦略

ホワイトペーパーとは、自社のサービスや技術、業界知識などをわかりやすくまとめ、見込み客に向けて配布する資料のことです。企業の信頼性を高めたり、商談のきっかけをつくったりといった役割を担い、多くの企業が商品・サービス紹介などの販売活動やブランディング、マーケティングの一環として活用しています。そうしたホワイトペーパーは、社内で作成するのが一般的ですが、時間やリソースなどの不足といった事情から、外注する必要が出てくることも少なくありません。その場合に気になるのが、外注時の流れや依頼する際の注意点ではないでしょうか。

そこで本記事では、ホワイトペーパーの基本的な役割をあらためて整理したうえで、外注する際に押さえておきたいポイントや制作の進め方、制作後の活用方法をわかりやすくご紹介します。

ホワイトペーパーの目的や役割

ホワイトペーパーを制作する目的は企業によってさまざまですが、主な目的として定められやすいのは、以下の2点です。

 

・見込み客の獲得(リードジェネレーション)
・見込み客の育成(リードナーチャリング)

 

ホワイトペーパーは、ダウンロード時に社名や氏名、メールアドレスなどの連絡先といった「リード情報」を入力してもらうことが一般的です。そのため、ホワイトペーパーをダウンロードするユーザーは、「ある程度の個人情報を提供してでもホワイトペーパーを読みたいと思った」ということであり、企業に関心を寄せている(=エンゲージメントが高まっている)見込み客であると考えられます。こうしたユーザーに対しては、「ナーチャリング(育成)」を行い、関係をより深めていくことが重要です。例えば、ステップメールを活用して定期的に接点を持ったり、ユーザーの状況に応じて異なるホワイトペーパーを届けたりすることで、関係性を深めていきます。

 

具体的には、システムの導入を検討している企業向けには「自社の独自性」など自社の強みをアピールできるものを、また課題が明確なユーザーに対しては「具体的なソリューション提案」「導入事例」などを提供することで、見込み客の理解を深め、最終的には商談・受注まで繋げられる可能性が高まります。

ホワイトペーパーの種類

ホワイトペーパーにはさまざまな種類があり、代表例としては下記の4つがあります。

 

・サービス紹介
自社のサービスを具体的に紹介するホワイトペーパーです。サービスの強みや導入プロセス、他社との違い、料金体系などを明確に伝えることで、検討段階のユーザーに効果的にアプローチできます。

 

・企業オリジナルフレームワーク
自社が独自で開発したフレームワークを提供するホワイトペーパーです。独自性が高く、企業の専門性や信頼感を伝えるのに適しています。

 

・ノウハウ
自社が蓄積してきた専門的な知見やノウハウを提供するホワイトペーパーです。実践的な内容を盛り込むことで、ユーザーの課題解決をサポートでき、信頼の構築にも繋がります。

ホワイトペーパー制作の外注で失敗しないための注意点

ホワイトペーパーを内製化したいものの、社内にリソースがないなどの理由で仕方なく外注を検討する方も多いでしょう。その際によくある失敗が、「思い描いていたイメージと違うものが納品された」というケースです。こうした事態は、完成形のイメージが全くないままに発注し、制作を進めてしまうことで起こりがちです。

 

ホワイトペーパー制作の外注で失敗しないようにするためには、発注前にしっかり外注先と認識をすり合わせておくことが大切です。少なくとも以下の5点は、発注前の段階からある程度の方向性を決めておきましょう。

目的設定とターゲットの明確化

ホワイトペーパーを作成する上で最も重要なのが、「目的」と「ターゲット」の明確化です。目的が曖昧なままだと、メッセージに一貫性がなくなり、結果として誰にも刺さらない資料になってしまいます。

 

この点は、制作者に任せきりにするのではなく、発注者自身が事前に具体的なペルソナ設計を行い、読者像を明確にすることが大切です。そうしてイメージを共有することで、外注先との認識のズレを防ぐことができます。

テーマ選定と構成の作成

目的とターゲットが明確になったら、それに基づいてテーマを決めていきます。例えば、目的が「新規リードの獲得」で、ターゲットが「動画制作を検討している企業の担当者」であれば、サービス紹介型のホワイトペーパーにする、といった具合にテーマを定めます。

 

構成については、基本は「表紙・導入・問題提起・解決策・事例紹介・まとめ」の流れがベースとなります。外注する場合は、この構成案まで自社内でざっくり整理しておくと、制作会社と共通認識を持つことができ、やりとりがスムーズになります。

情報が伝わりやすいデザインにする

デザインは、視認性を損なわない範囲でシンプルにまとめることが大切です。多くの色や装飾を使ったホワイトペーパーは、見た目としては華やかでも、資料としては読みづらく、内容が印象に残りにくくなります。「読みやすいフォントを使う」「キーカラーは2〜3色に絞る」「強調したい情報には見出しや囲み枠を活用する」といった基本ポイントを押さえるようにすると、内容がより伝わりやすくなるでしょう。

 

また文字デザインは、フォントの種類・サイズ・色のルールを統一することで、資料全体に一貫性が生まれます。例えば「特に重要な情報は赤文字で強調する」といったルールを、事前に決めておくと良いでしょう。

 

配色は、伝えたい内容や目的に合わせて使い分けます。例えば商品やサービス、企業のイメージカラーで統一すれば、ブランドの印象を強められます。また、アクセントカラーにメインカラーの補色を選ぶと、互いを引き立て合い、メリハリのあるデザインに仕上がります。

 

そして何より重要なのは、「短時間で理解できる資料」にすることです。情報は端的にまとめ、見やすいフォントとメリハリのある文字組みで、読み手の理解をサポートしましょう。

 

外注する場合は、こうしたデザイン方針などを事前に共有すると修正の手間を減らすことができます。その際、過去の資料や参考イメージをあわせて渡せば、より完成度の高い仕上がりが期待できるでしょう。

図や数値を活用して、伝わりやすさを高める

テキスト情報だけでは、ユーザーにとって内容が理解しにくくなることがあります。そのため、図やグラフなどを活用し、一目で理解できるような見せ方にすると良いでしょう。また、数値データを併用することで、説得力や信頼性をより強化することができます。

 

中には社外秘のデータなどもあると思いますので、外部にホワイトペーパーの制作を依頼する際は、「どのようなデータがあるのか」「どこまで提供できるのか」を事前に整理しておくと安心です。

わかりやすいタイトルをつける

ホワイトペーパーのタイトルをつける際、つい「○○のサービス紹介」や「××とは」といったありきたりなものにしがちです。しかしこうしたタイトルでは、資料の目的や伝えたい内容が伝わりにくくなってしまいます。タイトルは、資料の顔とも言える重要な要素です。読者の興味を引き、内容を一目でイメージできるような工夫が求められます。

 

とはいえ、タイトルだけで全てを説明するのは難しい場合もあります。そうした場合は副題(サブタイトル)を活用しましょう。タイトルで興味を引きつつ、副題で内容の補足や具体的な説明を加えれば、より効果的に訴求できます。

ホワイトペーパーは目的別に複数制作することが大切

ホワイトペーパーのダウンロードは一定数あるものの、商談や受注に繋がらない…という課題を抱える企業は少なくありません。その要因の一つとして考えられるのが、「目的を明確に定めないまま、ホワイトペーパーを制作・公開している」という点です。

 

ホワイトペーパーには見込み客の獲得・育成という2つの主要な役割があります。しかし、「とにかくリードを多く集めたい」という視点のみで、「オリジナルフレームワーク」や「ノウハウ」系のホワイトペーパーを中心に展開している場合もあるでしょう。確かにこうしたホワイトペーパーはダウンロードされやすく、リードも集めやすいのですが、その一方で獲得できるリードの多くは“潜在層”である可能性が高いです。

 

特にノウハウ系資料のダウンロードは、「外注せず、自社内で課題を解決したい」と考えているユーザーによるものも多く、お問い合わせや商談に繋がる見込みが高いとは限りません。一方、すでに課題が顕在化しており、具体的な解決策を求めている“顕在層”のユーザーは、「企業紹介」や「サービス紹介」といった、導入判断に直結する内容を求める傾向にあります。

 

そのため、ホワイトペーパーはどのような層にアプローチしたいかを明確にした上で、「クライアントの成功事例を紹介するサービス概要資料」「●●の活用で商談効率が向上した××株式会社の導入事例」など、顧客の検討フェーズに応じたさまざまな資料を用意し、提供していくことが大切です。

ホワイトペーパーをダウンロードしてもらうには?目的別配布方法

ホワイトペーパーを作成したものの、Webサイトに掲載したまま放置してしまうといったケースは少なくありません。しかし、どれほど魅力的で成果に繋がる内容であっても、ただ単にWebサイトに掲載しただけでは、ユーザーの目に触れず、ダウンロードされることもなく、せっかくの制作コストも無駄になってしまうでしょう。

 

ホワイトペーパーは、リードの獲得・育成に非常に有効です。だからこそ、より多くのユーザーの目に触れ、ダウンロードしてもらうことが大切です。ここでは、目的別に適した配布方法を紹介します。

リード獲得を目的とした配布方法

新規の見込み客を獲得するためには、「関心層」がアクセスしやすいチャネルや仕組みを整えることが重要です。例えば、以下2点のような方法で配布をすると良いでしょう。

 

・Webサイト内に専用のダウンロードページを設置
資料ごとにページを分け、検索しやすい構成にすることで自然流入からの獲得率を高められます。

 

・外部メディアやホワイトペーパーまとめサイトへの掲載
業界特化型の資料サイトに掲載することで、情報収集を目的とする層へのリーチが可能です。

見込み客の育成(リードナーチャリング)を目的とした配布方法

すでに獲得済みの見込み客に対しては、自社サービスへの理解を深めたり、見込み客が抱える課題に対しての解決策を提供したりする目的でホワイトペーパーを活用します。例えば、以下3点のような方法で配布をすると良いでしょう。

 

・メールマガジンやステップメールで配信
興味関心に応じた資料を段階的に届け、顧客育成(ナーチャリング)に繋げます。ただし、メールを送る場合は送信頻度に注意しましょう。メールを送る回数が多くなると、オプトアウト(配信停止=見込み客の喪失)に繋がる恐れもあります。

 

・営業活動のフォロー資料として活用
商談のタイミングで補足資料として配布し、理解を促進します。

 

・セミナー・ウェビナー後のフォローアップ資料
外部のセミナーに登壇したり、自社でセミナーやウェビナーを開催したりする企業も多くなっています。そのセミナーやウェビナーの参加者に対して、講演内容を補完するホワイトペーパーを提供することで関係構築が深まります。

ホワイトペーパーを活用して、効率よく商談・受注に繋げる

ホワイトペーパーは、うまく活用すればリード獲得や商談創出に大きく貢献してくれる強力なツールです。外注する場合でも、目的やターゲットを明確にし、制作の流れや構成をあらかじめ整理しておけば、認識のズレを防ぎ、期待通りの成果に繋がりやすくなります。

 

本記事を通じてご紹介したポイントが、ホワイトペーパーの外注・運用における一助となれば幸いです。

TAKI Magazine編部 執筆者情報

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