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マーケティング戦略の課題設定のポイント|マーケティング戦略シリーズ (10)
マーケティング戦略の構築において、現状の問題点やビジネス機会を正確に把握し、そこから具体的な課題を設定するプロセスは、成功に向かう上で非常に重要なステップです。本稿では、現状分析の手法やビジネス機会の探求方法、課題設定のポイントについて詳しく解説します。
【出発点】現状分析で「今」を知り、ビジネス機会の種を見つける
「マーケティング戦略シリーズ (8)」で紹介した社会環境分析、企業分析、市場分析、消費者分析、商品分析、流通分析、コミュニケーション分析。これらの緻密な分析は、企業が自社の置かれた状況を内側と外側の両面から理解し、表面化している問題点だけでなく、見過ごされているビジネス機会の芽を発見するために、非常に有効な手段となります。
しかし、効果的なマーケティング戦略を構築するためには、個々の分析を行っただけで満足してはいけません。SWOT分析や4C分析といったフレームワークを、各分析と組み合わせることで現状分析をさらに深め、具体的な戦略を策定するための指針を定めることが重要です。個々の分析手法を単独で用いるのではなく、複合的に活用することで、内部環境と外部環境という多角的な視点から、問題点とビジネスチャンスを明確に捉えることができます。
SWOT分析は、企業の内部の強み(Strengths)や弱み(Weaknesses)を理解し、外部の機会(Opportunities)や脅威(Threats)を明確にするフレームワークです。これにより、企業がどのような状況にあるのかを把握し、取るべき戦略の方向性を適切に見定めることができます。
一方、4C分析は、顧客の視点に立ち、商品やサービスを購入する際の意思決定に影響を与える4つの要素を探るためのフレームワークです。顧客価値(Customer Value)、コスト(Cost)、利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)の4つの要素が顧客の購入意欲にどのように作用するかを理解することで、顧客のニーズや要求に合致した戦略を立案するための手がかりを得られます。
これらの分析手法を活用することで、企業は現状の問題点を明らかにし、新たなビジネス機会を発見できると同時に、競争環境や顧客の期待に応えるための強固な戦略を立てる基盤を築き上げることができるでしょう。
【成功の鍵】目標達成への道筋を定める「課題設定」
課題設定は、企業が目指すべき目標や方向性と、現状との間に存在するギャップを明確にする作業です。改善すべき問題点を特定することによって、マーケティング活動の目的と優先順位が明確になり、効果的な施策を立案するための基盤が築かれます。課題を設定する際には、以下の重要なポイントを考慮する必要があります。
1.客観的な根拠に基づき設定する
課題は主観的な意見や印象ではなく、現状の事実やデータという客観的な証拠に基づいて設定するべきです。現状分析や綿密なマーケティングリサーチを通じて客観的な情報を収集し、それらを活用します。
2.SMART基準に沿って設定する
設定する課題はSMART基準(明確性 Specific、測定可能性 Measurable、達成可能性 Achievable、関連性 Relevant、期間設定 Time-bound)を満たすように具体的に定義します。これにより、課題の曖昧さを排除し、明確な定義と目標達成に向けた進捗状況を客観的に測定することが可能になります。
3.問題の本質を捉える
表面的な現象にとらわれず、課題の背後にある根本的な原因や構造を深く理解することが重要です。問題の本質を捉えることで、より効果的な解決策を検討することができます。
4.自社の強みや弱みを考慮する
課題を設定する際には、自社の持つ強みを最大限に活かし、同時に自社の弱点を補完できる課題を選ぶことが有益です。自社のリソースや競争優位性を最大限に活かせる課題を見つけ出すことが、成功への近道となります。
5.消費者インサイトに注目する
消費者インサイトは、消費者の深層心理にある隠された欲求や動機づけのことです。消費者インサイトに基づいた課題設定は、消費者の真のニーズや欲求に応える施策を展開するための強固な基盤になります。
上記のポイントを念頭に置きながら、課題を設定することで、企業は現状の問題点を正確に把握し、ビジネスチャンスを最大限に活かすための戦略を策定することができるでしょう。
まとめ
現状把握と課題設定が、戦略実現の基盤となる今回は、マーケティング戦略の重要な要素である「現状分析の手法やビジネス機会の探求方法、課題設定のポイントについて」について解説しました。
現状を分析しビジネス機会を見つけ、ビジネスチャンスを明確にするためには、社会環境分析からコミュニケーション分析に至るまで、多岐にわたる分析を通じて現状を正確に把握することが不可欠です。SWOT分析や4C分析などとフレームワークを組み合わせることで、より実現性の高い効果的なマーケティング戦略の基盤を築き上げることが大切です。
そして、課題設定においては、客観的な根拠に基づき、SMART基準に合致する課題を明確に定義し、問題の本質や自社の特性を考慮した適切な課題を選定するようことが、戦略を成功に導くための鍵となります。
シリーズの続きは以下をご覧ください。
・第1章 企業や商品、サービスを魅力的に活かすマーケティングとは何か
■マーケティングに関しては、こちらの資料もご覧ください

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