みらいデザインミーティング#001 花火師2






ストーリーの発掘、という価値の
つくり方もあると思う。

加藤:この現状の中で何かできることはないかと思って、花火大会が継続的に発展していくために必要なことを、勢いのある主催者さんたちに聞きに行ったことがあるんです。中でも印象的だったのが長岡。花火大会 のその先を見ているんです。最初は戦後の復興が目的だったんだそうです。でもそれがやがて中越地震からの復興が目的になり、今では花火大会を使った人口減少対策まで見据えている方もいらっしゃる。

藤井:花火大会をどうするか、じゃなくて、花火大会で社会をどうするかを市ぐるみで考えているんですね。

加藤:そうなんです。たとえば見に来た人が快適にすごすために必要なことには惜しみなくお金を使う。安全は最大のおもてなしだということで、警備にお金をかけることもいやがらない。そうすると、来た人のマナーも向上するんですって。市役所も、長岡の花火のパンフレットつくって配ったり、動画を配信したりしている。そうすると、スターマイン(※1)上げたいっていう団体さんがあらわれて、必要な金額を集めてくる。花火の本が本屋さんに並んで、それも売れる・・・。みんな長岡の花火のことを知って、協力しようっていう気風が生まれてくる。花火が人と人のつながりに発展していくんですね。
※1スターマイン:速射連発花火。いくつもの花火を組み合わせ、連続的に打ち上げる花火のこと。

藤井:花火が人の気持ちを動かして文化になりながら、経済活動も活性化していくっていうことですね。

加藤:長岡の街を歩いているとほんとにそれを実感するんです。花火大会になると休みになる会社も多いらしくて(笑)。

藤井:それってもしかして、ストーリーを発掘して伝えるっていうことがうまくいっているんじゃないでしょうか。製品ってそれだけではどんな価値があるのか、なぜその値段なのかがわかりにくい。でもつくられる工程とか、背景にあるエピソードを知ったら見る目が変わってきます。そういう価値のつくり方ってあると思うんです。

加藤:ストーリー、そうかもしれません!たとえば「白菊」っていう花火は昔シベリアで亡くなった同胞への鎮魂が由来なんですけれど、長岡では、それをわかって見ていただくということを、主催者さんが意識的にされていて。

藤井:バックグラウンドが見えることで人の気持ちが動くんですね。だとすると、たとえば江戸時代や戦国時代に上がっていた花火を再現するプロジェクトなどは面白くなる気がします。今の花火の方が華やかだとは思うんですけど、ある種のストーリーが生まれますよね。「見たことのない花火」とか「ここでしかつくれない」っていう価値が生まれますし、歴史を知る上でも重要になると思うんです。戦国時代を題材にしたアプリをつくっているメーカーと組んで何かできる、みたいなことに発展するかもしれない。

加藤:面白いです!興味を持って見てもらえそうな気がします!