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執行役員
國井丈嗣

投稿者

カンパニー社長
湯浅洋平

投稿者

ある日、Instagramのたき工房公式アカウント宛に送られてきた一通のDM。
差出人は、長野県・軽井沢にある全寮制国際高校「ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン」に通う高校1年生、松本さん。

クリエイターを目指す彼は、「その手を、作る」という弊社のサイトTOPの動画を見て、さまざまなデジタルアートやグラフィックデザインを手掛ける弊社に興味を持ち、ぜひ一度話を聞いてみたいとコンタクトを取ってくれたのです。
彼の本気の姿勢に応えるために、弊社も本気でのぞみたい。そこで急遽、弊社カンパニー社長の湯浅と執行役員の國井がお答えする形で、リモート対談を行うことになりました!
今回は、その当日の様子をご紹介したいと思います。

きっかけは、グラフィックデザイナーを目指す高校1年生の松本さんからのDM

今回たき工房に連絡をくれた松本さんは、ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン(以下、UWC ISAK)に通う高校1年生。UWC ISAK は、自然豊かな軽井沢にある、「自ら成長し続け、新たなフロンティアに挑み、共に時代を創っていくチェンジメーカーを育む」を教育方針として掲げ、社会に必要な変革を起こせる人材を排出することを目標とした全寮制国際高校です。

小学校4年生の時からフォトショップを触り始めた松本さんは、高校入学後も学内掲示ポスターを作成するなど、日常的にグラフィックデザインを行っています。そうした中で芽生えた、将来の夢。グラフィックデザイナーとして働くというのはどういったことなのか。そんな疑問を解消するために白羽の矢が立ったのが、たき工房でした。

対談当日は、緊張した面持ちを見せる松本さんでしたが、彼の思いに応えられるよう、本気で質問にお答えさせていただきました。

質問その1:グラフィックデザイナーの仕事について

松本:まずは、グラフィックデザイナーという仕事について教えていただきたいです。私は小学生の時から触れているフォトショップのスキルを活かしたいという思いから、グラフィックデザイナーを志すようになったのですが、いざグラフィックデザイナーとはどういう仕事なのかを調べても、なかなかピンと来る答えが見つからず…。グラフィックデザインを数多く手掛ける御社が思う、グラフィックデザイナーの仕事とは一体どのようなものですか?

國井:その質問は、どんなに素晴らしいグラフィックデザイナーでも正しい回答を出せないかもしれませんね。
私も昔はグラフィックデザイナーとして働いていましたし、たき工房でもグラフィックデザイナーと名乗りながら働いている人が100人以上います。ですが私は最近、グラフィックデザイナーという言葉を敢えて使わないようにしています。というのも、過去をさかのぼってみると、グラフィックデザインはポスターなどの平面のデザインを指すことが多かったと思いますが、近年は決して平面だけに限ったものではありません。例えば、容器をグシャッとつぶすことができるペットボトル飲料などは、つぶせるというギミックそのものが商品最大の特長になっており、このギミックをデザインすることも、グラフィックデザインの一つだと思うんです。
正直、グラフィックデザインの定義は人によってさまざまだと思います。平面のものだけだ!と声高に言う人もいるでしょう。ですが松本さんには、もっと広い視野を持って、自分自身でグラフィックデザイナーとは何なのかを定義していって欲しいと思います。

質問その2:グラフィックデザインの可能性について

松本:グラフィックデザイナーを目指したいという思いはあるものの、変化の大きい時代だからこそ、グラフィックデザインの今後が気になります。グラフィックデザインのこれからの可能性は、明るいと言えるのでしょうか。

湯浅:例えばこの場にいる私たちそれぞれで、「思い思いに太陽を描いてみよう」となったとします。そうすると、大きさや色味など、一つとして同じ太陽は描かれないでしょう。こんな風に、人々の頭の中というのは本当に複雑で、その考えや思いを100%伝えきることはできません。グラフィックデザインは、こうした100%は伝えることはできない思いを、少しでも多くの人に、100%に近い状態で届けるための手段なのです。だからこそ、人の思いがある限り、グラフィックデザインの可能性は無限にあると言えます。
先ほど國井が申し上げたように、グラフィックデザインの定義もさまざまですが、少なくとも、人々の届けたい思いがこの世にある限り、グラフィックデザインはなくならないでしょうね。

質問その3:創造性について

松本:グラフィックデザインをはじめとしたクリエイティブな仕事は、新しいモノを生み出す、創造性を問われる仕事だと思っています。皆さんにとって、創造性とはどういったものでしょうか。

國井:Web検索などで創造性という言葉を調べると、「新しいものを生み出す」というワードが出てくることも多いのですが、個人的にはそれは「発見」や「開発」というニュアンスが強いような気がします。
私たちのようなデザインを生業にする人にとっては、創造性というのは、今必要とされるものを見抜く力なのではないでしょうか。人や社会が、今何を求めているのか。それを正しく理解し、その答えを出してあげること。それこそが、デザイン領域における創造性だと思います。
そういう意味では、デザイナーにとっての創造性とは、デザイナーとして生きることそのものと言えるかもしれませんね。

湯浅:私も國井と近い意見です。太陽の絵を例にした話でもお伝えしましたが、一人ひとりの人間が持つ個性から本質を見出す力こそが、創造性だと思います。それぞれの個性を受け入れ、最適なものを生み出し、喜ばれることによって、自分自身も楽しくなる。こうした幸せの連鎖も、本質を見出す創造性があるからこそ実現できることではないでしょうか。

質問その4:仕事は楽しい?

松本:最後に、これまで長く仕事を続けてこられたお二人だからこそ、単刀直入に聞かせてください。仕事は楽しいですか?

國井:私は好きなことを仕事にしたので、楽しめています。もちろん、仕事として取り組むからこそ、プレッシャーや人間関係に悩まされることもありますが、グラフィックデザインの仕事そのものを辛いと思ったことはありませんね。

湯浅:楽しいことも、辛いことも、両面あるのが仕事です。そして、それこそが仕事の魅力なのです。喜びがあるからこそ困難を乗り越えることができ、困難があるからこそ喜びがもっと大きなものになる。これこそが、仕事の醍醐味であり、これまで続けてこられた秘訣です。

松本:お忙しいなか、本日はありがとうございました。今回のインタビューはとても勉強になりました。

 

 

–編集後記–
今回の対談は、松本さんの質問にお答えするという形式ではありましたが、その鋭い切り口は、私たち自身の存在価値を再認識する、とても良い機会になりました。松本さんの質問に答えているようで、実は私たちが教わっていることの方が多かったかもしれませんね。
松本さんのような、才気あふれる若者が、グラフィックデザイナーを目指してくれるというのは、私たちにとっても非常にうれしいことです。彼が社会に出る時に、デザインの世界の魅力が減少してしまっているなんてことがないよう、より一層気を引き締めていきたいと感じました。
デザインの可能性は無限大です。松本さんのような若い人たちと一緒に、未来をデザインしていける日を心待ちにしています。