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TAKI SMILE DESIGN LABO メンバー

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「森のインクルーシブプロジェクト2024」メインビジュアル

「森のインクルーシブプロジェクト2024」メインビジュアル

こんにちは。「TAKI SMILE DESIGN LABO(以下SDL)」プロジェクトメンバーです。
「SDL」とは、たきコーポレーションが取り組む社会貢献プロジェクトのこと。「デザインの力で、笑顔をつくる」ことを目的として活動しています。

今回私たちが取り組んだミッションは石川県森林公園開園50周年記念イベントの企画です。これまでも年に一度「生物多様性」をテーマにしたワークショップなどを実施してきましたが、50周年記念イベントということもありスケールアップ! 公園に来園された子供から大人まで様々な人々がインクルーシブを体験できる7つのプログラム「ちがい まなぶ 森体験」を提案し、デザインからツール製作、当日の運営まで実施しました。

本ブログではイベント当日の様子や、企画・運営に参加して自分たちが感じたことについてお話しさせていただきます。

※過去のMISIAの森での活動はこちらからご覧いただけます。
みのむしのきもち
「MISIAの里山ミュージアム2019」#1
「MISIAの里山ミュージアム2019」#2
「MISIAの里山ミュージアム2021」

※「ちがい まなぶ 森体験」の実施内容はこちらからご覧いただけます。
石川県森林公園開園50年記念「森のインクルーシブフェスティバル2024」

MISIAの森プロジェクト」に久しぶりに参加する喜び

一般財団法人mudefのアンバサダーでもあり、石川県森林公園の名誉園長でもある歌手・アーティストMISIAさんが、森の保全活動を通じて生物多様性の保全の重要性を訴えスタートした「MISIAの森プロジェクト」。同プロジェクトでは森の保全活動を行うほか、子供たちが住む未来の地球への希望を込めて、子供たち自身が未来を考えていくきっかけとなるような「豊かな森」づくりを、アートを通じて行ってきました。SDLも、プロジェクトの主旨に賛同し、年に一度イベントに参加してきました。

しかしコロナ禍もあり、ここ数年はイベントが開催できませんでした。昨年2023年、石川県森林公園が開園50周年を迎えるにあたり、久しぶりのイベント開催が決まっていましたが、大雨の被害により残念ながら延期。1年遅れでありましたが2024年11月2日、3日に開催することが決定し、SDLもぜひ協力したいと今回のプロジェクトに参加することになりました。当日の天候を気にしつつ、無事に開催できることを願い、企画をスタートさせました。

「レインボーカラースタンプラリー」のスタンプ台

「レインボーカラースタンプラリー」のスタンプ台

インクルーシブって?どうしたら伝えられるだろう…。企画、実施の難しさ

SDLでは、過去に「生物多様性」をテーマにスタンプラリーやワークショップなどを企画・実施してきました。しかし今回は50周年記念ということもあり、生物だけでなく、人間の多様性も含めた「インクルーシブ」をテーマにしたイベントにしたい、との要望がありました。今までインクルーシブをテーマにしたイベントを行ったことがなく、まずはインクルーシブとは? を知ることからスタートしました。

アートディレクターの東福を中心に、何度か打合せをし、大雨の被害による場所の制約、限られた予算、人的リソースなどを加味しながら企画を練っていきました。生物多様性なら伝えやすいが、人間の多様性を伝えるにはどうしたよいか。ここがいちばん苦労した部分でした。

やりたいことはあるが、実際にオペレーションできるのか? 予算、スケジュールは大丈夫か? などなど、苦戦しつつもようやく直前に準備が整い、後は当日に現地で対応。「現場対応も得意な、クリエイターとしての本領発揮というものだ! 」という意気込みで現地へ向かいました。

イベント当日の様子。能登半島地震の募金受付

イベント当日の様子。能登半島地震の募金受付

初日は天候に恵まれず…それでも駆けつけてくれた方に感謝!

SDLが企画したのは、インクルーシブを体験できる7つのプログラム「ちがい まなぶ 森体験」。障がい、年齢、性別、そして文化の違いを遊びながら体験してもらう内容です。前日入りして準備をしたにもかかわらず、初日はあいにくの雨でした。

緑化の広場という原っぱで実施の予定が、屋内のインフォメーションセンター「わくわく森林ハウス」での開催に変更。全てのプログラムを実施できたわけではありませんが、雨天時も想定して準備していたためなんとか開催できることに。雨も強くなり、ここまでお客さんが来てくれるだろうか? という不安もありましたが、「SNSでの告知で見た」「明日は予定があるので、どうしても今日参加したかった」、というように多くの方が駆けつけてくださり、ワークショップに参加して、イベントを盛り上げてくれました。嬉しかったですね。本当に感謝しています。

2日目は秋晴れ! 準備は体力勝負? 眠気に負けず早起き

2日目は予報通りに雨が止み、秋晴れのいい天気に恵まれました。緑化の広場のセンターポールには、イベント用に製作した金沢在住のヘラルボニー所属アーティスト輪島さんによるイベントキービジュアル「森の妖精」の旗が掲げられ、SDLメンバーも朝早くから準備をスタート。森を回るスタンプラリーの装飾、障がい疑似体験のブースづくり、「森の妖精キーホルダー」をつくる工作イベントの準備など、広大な広場をいっぱいに使った企画の数々を楽しんでもらうために、脚立を持ち、工具を持ち、たくさん歩き準備をしました。本当に体力勝負でした!  

会場にはスペシャルライブ用のステージもあり、MISIAさんがライブツアーを行った際に一緒にツアーを回った「MISIAのライオン」さんも駆けつけてくださいました。森と能登のレストランの飲食ブースもでき、いよいよイベントがはじまるぞ! と気分も高揚してきました。 

飛び入り参加!? “MISIAのライオン”さん

飛び入り参加!? “MISIAのライオン”さん

「森の妖精キーホルダー」を作る。おみやげは、思い出と親子の時間

森で見つけてきたものを使って、自分だけのオリジナルの森の妖精キーホルダーをつくろう! というワークショップを実施したのですが、その時の子供たちの発想にとても衝撃を受けました。どんぐりや松ぼっくり、小枝などを拾ってくる子供が多い中、それどこで見つけてきたの? というような「謎のきのこ」「生の花びら」を使う子供たちもいました。本当に子供の発想は面白いもので、色々な妖精が生まれ、見ていてとても楽しかったです。幼い子たちは、お父さんやお母さんと一緒になって、貼ったり、色を付けたりして、親子の微笑ましい姿も見られました。

妖精のキーホルダーが完成したら、作品の写真を撮って専用のボードに貼って展示。参加した子供たちはボードの前で作ったキーホルダーと記念写真をぱちり。専用ボードも森の妖精のキーホルダーが加わり、ひとつの作品に。

自分でつくった妖精のキーホルダーはもちろん、親子で過ごした楽しい思い出もお土産になっていたら嬉しいなと、思いました。

「森の妖精キーホルダー」作品ボード

「森の妖精キーホルダー」作品ボード

「森のインクルーシブフェスティバル 2024」。想いを未来へ引き継ぐ

イベントのキービジュアルは、金沢在住のヘラルボニー所属アーティスト輪島さんに描いていただいた作品です。今回のイベントでは、このビジュアルをモチーフにし、ワークショップや装飾に使用する旗やクッションを製作しました。イベントが終わったあとは、ゴミとして廃棄するのではなく、なるべく未来へと引き継いでいきたいとの想いがありました。

イベントで使用したツールは、「かなざわにのじま」という、築100年以上の金沢町屋をリノベーションした、LGBTQ+をはじめとする多様な人たちが自分らしく安心して集うことのできる施設に、展示していただいています。私たちが取り組んだイベントの「レガシー」が、私たちの想いが場所を変えて再度展示されているのをみて、次への取り組みに想いをはせています。

森のインクルーシブフェスティバルの集合写真

旗やクッションを持って記念撮影!

2日間で見えてきた課題も

イベントを終えて、反省点、課題もいくつかありました。大雨の影響で森林公園の限られた場所でしか実施できなかったこともその中のひとつ。森の中を歩き回って自然の良さ、公園の良さを知ってもらいたかったです。

他には、スタッフの数の見直しも必要だと思っています。広い公園でのイベントということもあり、スタッフの人員が思ったより足りませんでした。そのせいでスタッフの休憩時間が確保できなかったり、予定していたワークショップのいくつかが実施できなかったりと、人手さえあれば解決できそうな課題もいくつかありました。

また今回のテーマである「インクルーシブ」について、知識がまだまだ足りていない部分もあったので、もっと勉強が必要だと感じました。

他にもいくつか反省点や課題はありましたが、次回また開催する場合は今回の振り返りをもとに、改善すべきところは改善し、よりよいイベントにしていきたいと思っています。

イベント参加者の方にアンケートを実施したところ、

「自然の中で自由に遊びながら、イベントの遊びも溶け込んでいて、雰囲気が良かった」
「障がい者とか健常者とか、者別で語らず、ともに過ごす空間が、どこにでもあってほしいと思った」

といった声をいただきました。

今回のイベントのテーマを理解していただけた方がいたことは、次への励みになりつつ、私たちが活動していく意義だと思っています。